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GAMERA -Rebirth-のデッカードのレビュー・感想・評価

GAMERA -Rebirth-(2023年製作のアニメ)
4.0
1989年、突如日本を襲う謎の怪獣たち。怪獣と戦うガメラと子どもたちの交流を描く。

謎の怪獣たちは「昭和ガメラ」シリーズに登場した怪獣がベースになっていて、ギャオス、ジャイガー、ジグラ、ギロン、バイラスは造形などはかなり現代的に作り変えられているが、やはり懐かしい。
ガメラの造形や火炎砲などは平成ガメラの影響が色濃く、ガメラならではの咆哮には胸ときめいてしまう。
ガメラと怪獣の決戦シーンは毎回迫力があり見応え十分。
第1話の大量のギャオスとガメラの戦いは『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』のクライマックスを思い出させてくれて、映画で見ることのできなかったその後(『小さき勇者たち〜ガメラ〜』ではかろうじて見ることができた)の結末までしっかり描いている感じ。

毎回、懐かしい怪獣とガメラの戦いにはワクワクするのだが、子どもたちの物語が大半を占める構成は正直退屈。
子どもたちの友情や成長の物語にはこれといった新しさはなく、その時間でむしろ怪獣たちと米軍や自衛隊の戦いなど描けなかったのかと不満だった。

しかし、ラスト2話で子どもたちとガメラや怪獣の関係、そして謎の財団の陰謀が明らかになるあたりから展開はいきなりハードになり、俄然おもしろくなっていく。
子どもたちの存在にも必然性があり、ガメラが怪獣たちと戦う上で子どもたちが必要な存在で、子どもたちとガメラが心通じ合わせる場面には感動を覚えた。
考えてみれば、昭和ガメラはずーっと子どもの味方だったので、昭和ガメラオマージュの本作が子どもたちとガメラの交流に重点を置くのは必然だったかもしれない。

日本政府や在日アメリカ軍の描き方には多少甘さを感じてしまうが、いいところでしっかり活躍してくれることには満足。

ドラマとして、子どもたちの物語をもう少し目新しくするとか、あるいはコンパクトにするという工夫は必要だったとは思うが、ガメラファンとしては格闘シーンのド迫力、登場怪獣たちの魅力など満足いくガメラ作品になっていると思った。

タザキが意外な人になるパロディはそれはそれで笑えて楽しかった。
そして、子どもたちの前に現れる"アレ"に、つい続編を期待してしまった。
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