真夏のプールサイドで入道雲を見上げる2人。一見カップルに見えるが、実は幼なじみ。子どものころからスカートをはき、ビキニを美しく着こなす秀二郎は、隣で寝転ぶ慶一に思いを寄せている。しかし、慶一は会社の後輩と結婚してしまい…。
京都の小料理屋で、芸妓から声をかけられた達也。幼いころに将来の夢を語り合った、仲よしの志歩だった。志歩の夢は芸妓、達也の夢は小説家になることだった。夢をかなえた志歩から近況を聞かれ、達也はつい「今も小説を書いている」と答えてしまう。
バイクに乗って、海沿いの家を訪ねる純也。荷物の中には、亡くなった父の遺骨が入っていた。出てきたのは、画家だった父親のモデルをつとめていた女性。父のお気に入りだったという着物を、持って帰ってほしいと頼まれるが…。
真夏の夕方。ジェシィのバーを、1人の女性が訪れた。かつてジェシィが船上のピアニストだったころ、恋人同士だったというマリィ。2人で一緒に船を降りるはずが、わけあってジェシィだけが下船したという。ジェシィとマリィの、25年間の物語。
2年前から別居中の妻に離婚届を渡すため、夏旅に出た浩行。久しぶりに会う妻・真帆は別人のように変わっていた。離婚届を置いて別れたはずが、封筒に入っていたのは、会社に提出するための自己申告書。妻が読み上げる声を聞くうち、浩行の心にある思いが浮かぶ…。