児童養護施設の子供たちに、折り紙を教えている会社員の拓途。男の子から「カエルを折って」と頼まれる。そのとき拓途の心に、ある思い出が浮かんだ。拓途自身も、児童養護施設で暮らしていた幼い日々。「勇気が必要なときカエルを折れば後押ししてくれる」と、折り方を教わったことを。カエルに勇気づけられて、拓途はある一歩を踏み出すが…。
絶対取れないはずのボタンが、取れてしまった。かつてシェアハウスで一緒だった、憧れのカンナさんがつけてくれたボタン。カンナさんに何かあったのではと、数年ぶりに連絡を取ってみるボク。返信メールには元気そうな近況とともに、カンナさんの美しい手がボタンをつける映像がついていた。見よう見まねでやってみるボク。その後彼女と再会することとなり…。
釣堀で息抜き中の泰次を、若い女性が訪ねてきた。それは久しぶりに会う娘の友里だった。友里が幼いころ離婚した妻は、その後再婚。泰次は新しい父に気を遣い、距離を置いていたのだった。「成人式にも卒業式にも来なかった」と責める娘。実は、泰次にある報告をするために会いに来たのだったが…。
雪の降る町を訪れた、1人の男。あるクラブに入り「みどりさん」を指名する。現れた「みどりさん」が理由を尋ねると、特別な人の名前なのだと明かす。それは苦労して彼を育ててくれた母親が、夜の店で名乗っていた名前だった。雪のためタクシーが捕まらず、みどりさんが男を車で送ることに。後部座席を見ると、ぽつんとチャイルドシートが置かれていたー
クリスマスの街を走る電車の中、男女が隣り合わせに座った。17年前に献血をした男性と、交通事故にあい輸血を受けた女性。2人はそのことを知らないが、不思議と温かい気持ちに包まれた。数日後、仕事の打ち合わせでプールに行った男性。そこでは、パラスポーツの選手たちが練習を行っていた。その中に、力強く泳ぐあの女性の姿が…。