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舟を編むのKSのレビュー・感想・評価

舟を編む(2016年製作のアニメ)
4.0
辞書を作る過程を元にして、その社会や文化がどうやって成り立ってきたのかを言葉を軸に描き出す。それだけでなく、言葉の変化はその社会や文化の変化である事も示す。

そして、この『大渡海』という辞書が抱える矛盾(権威主義的な側面とアナーキー的な側面)。でも、そうした性質を持つのも辞書の側面であり、人が作るということでもある。だから、本作は辞書作りの過程と個人史を両輪として物語が描かれているのだと思う。

あと、姦しいという言葉に代表されるようなジェンダー的ステレオタイプを助長するこうした用語があるという事が意味するのは、我々の社会には、性差別の視線が埋め込まれているんだなという事。また色の線引きも言葉によってされているなど我々が社会を認識する上で言葉が持つ役割の大きさを考える作品だった。
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