映画ケーン

ヴァイオレット・エヴァーガーデンの映画ケーンのレビュー・感想・評価

4.0


大切なものを失った時、自分の居場所を失った時、僕達はどうしたら良いのか——



正直毛嫌いして後回しにしてたけど、良いアニメ!
(この表現も感動系も嫌いだけど)泣けるし、映像はここ最近でもトップレベルで、現代に必要な作品でもあると思う。

10話は泣ける回と言われてる通り、泣いた。母が居なくなり、生きるのを諦めたくなるかもしれない。でも、そんな時にも一年毎に母から手紙が届く。私はあなたを見ているよ、と。お母さんの事を考えてもあの子の事を考えても泣いてしまう。これぞ「愛」だ。

ただ、所謂「感動系」の枠からあまり外れる事は無く、大衆的っちゃ〜、大衆的。それがダメな訳じゃないんだけど、結構セリフで言っちゃう所もあって、映画好き的な視点から言うと凄くノイズでしかない。
でも、今作は別にも良いところがあって。良くある話では「それでも生きなければならない」「それを受け入れて俺達は前へ進まなければならない」みたいな内容が多くて、今作もそうなんだけど、更に一歩進んで、そうなって初めて、人は利他的になれるって所を「手紙」ってものを通して描いたのは凄い良かった。

ラストでヴァイオレットが「あなたを愛しています」じゃなく、「愛が少し分かるのです」は彼女はまだ愛の全てを知っていない(「人類最大の謎」という意味でも)って事でもあるんだけど、同時にこれで分かった気になるな、って事だとも思う。

ただ、それらテーマだけで言えば別に映画で良くないか、と思う。もっとギュッとして短く出来たんじゃないかな。

ヴァイオレットがなぜあんな強いのか、「少女」がなぜ戦場に居るのか、腕がどう動くのか、とかは多少の説明でも良いから欲しかったな。

あと、わざわざ架空の世界にした理由がイマイチ良く分からなかった。なぜ現実を描かないのか。
面白い異世界人が居る訳でもなく…

後半の電車の上でのアクションシーンが一気にクオリティダウンして気になった。あれは緊張感無いし、電車の上なのに普通の声量で話してたりってリアリティも無い。

個人的には7話の方が好きかな。
幻想だと分かってるんだけど、信じたい。信じずにはいられない。でなきゃ生きていけないよ、というフィクションについての話になっていて、同時に(フィクションや神の様な)何かしらを信じるという事を無しにしては生きていけない人間の弱さも描いてる。

『スペシャル』
オペラ歌手から歌の歌詞を書いてと無茶振りされる話。

「届かない手紙」を描いたのは面白かったけど、それ以外は特に面白いところも無く。

あと、映画、アニメで歌を聞かせる危険性ね。
『20世紀少年』の世界を変える「ウーダララ、スーダララ」って歌があったし。
とにかく、あの歌詞で良いのか?感はある。
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