カニ組長

虚構推理のカニ組長のレビュー・感想・評価

虚構推理(2020年製作のアニメ)
4.9
 自分の好みドンピシャだったのでこの点数。
 こういう妖怪や都市伝説を題材にした作品は大体、主人公やその隣にいるやつ(その場合そいつの名前が大概作品名に入ってる)がそれらに対抗する能力を持っていて、バトルアクション路線になりがちだけど、この作品ではあくまで虚構の推理で古の妖怪を納得させるor新しい都市伝説の噂を打ち消す等で脅威に対抗していて戦闘はあくまで時間稼ぎとして使っていたのが新鮮で面白かった。
 主に虚構で戦うヒロインも、幼少期に妖怪達との契約で片目と片足を無くし、彼らの知恵の神としての役割を与えられているものの、フィジカルも強いなんてこともないし、不思議な力が宿っているなんてこともないのがご都合主義っぽくなく、逆にそれで困る分は、これまた幼少期に不老不死になる人魚の肉と未来視出来る件(くだん)の肉を食べたことで、死に戻り能力と自分の都合の良い未来を掴み取る能力を手に入れた主人公に全て任せていて、バディとしてのバランスが非常に上手く取れていた。
 新しく出来た怪異は、人の噂の広がり方によって強くも弱くもなるという理論が作中通して語られているが、これが非常に興味深い発想。
 中盤から終盤にかけてそのことを利用して怪異を作り出した敵と、怪異を打ち消そうと動く主人公&ヒロインチーム、そして何も知らずにネット掲示板に集まるスレ民達との攻防戦が描かれるが、それが終始論理的虚構の物語の構築に帰結していたため、怪奇作品ではありながら、この作品は結構ロジカルチックに楽しむべき作品だと感じた。
 確かに他のレビュワーさん方が言うように、主人公とヒロインの付き合った経緯などは時間飛ばしで省かれているし、ヒロインは中々下品な下ネタをかますし、1期の半分以上が1つの事件をずっとやってる感じではあるため、1期だけなら不満点もあるかもしれないが、今は2期がまっている。安心して視聴して欲しい。
カニ組長

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