カニ組長

機動戦士ガンダム 水星の魔女 第2クールのカニ組長のレビュー・感想・評価

5.0
 衝撃の1クールの結末からは、信じられないほど救いのある大団円になった完結編。話自体はかなり重いが、最大限幸せなラストで後味がかなり良かった。
 終わって、全体を通してみると、学生の設定も、女主人公も話題作りのためのもので、ガンダムで伝えたいことは何も変わってないことが示された2クール目。ただより若い目線から見た戦争の描き方はかなり興味深い。特に、虐げられているアーシアン側の現状を目の当たりにするのがかつての学園のトップだったグエル、逆にスペーシアンのトップには、自分の生まれを呪い、自由を求めて地上に逃げ延びようとしていたミオリネがなっている立場の逆転展開は見事という他ない。主人公スレッタが2クール目序盤で活躍が無い分、この作品を引っ張ったのは間違いなくこの2人だった。
 そしてスレッタ、彼女は最高の主人公だった。特に自分の出生に関わる衝撃的な事実を母親から聞かされ、再起不能なくらいメンタルボコボコになってからの彼女の成長は凄まじかった。ミオリネが親や社会、立場の圧力で雁字搦めになってる時に、全てを失ったスレッタがそれでも大切なもののために初めて自分の意志のみて立ち上がる、そこにガンダムのカタルシスを感じた。
 この作品の大団円は間違いなくスレッタが己の信じるものの為に、足掻いて掴みとった結果である。
カニ組長

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