プロ野球球団 神宮スパイダースに所属する左利きの中継ぎ、サイドスロー投手の凡田夏之介(26歳 独身)は、高卒プロ入り8年目で年俸1800万円。決して“一流投手”とは言えない待遇の選手である。“30越えたらあと何年できるか分からない”“引退してコーチや解説者になれる人はほんの一握り”“引退後は年収100万円台の生活に陥ってしまう人もいる”“プロ野球選手は現役のうちに稼がなければならない!”そんな厳しい現実を見据えながらも凡田はあるフレーズを繰り返していた。「グラウンドには銭が埋まっている」凡田は今日もマウンドに上がる。そう、「グラゼニ」を夢見て!
先発として出場した交流戦直前の試合で右手首を骨折してしまった神宮スパイダースの凡田夏之介は、4カ月ぶりに一軍に復帰する。チームは幸運にも優勝争いをしていたが、出番がない夏之介は焦るばかりだった。
夏之介と一緒に一軍に上がった外野手の樹六破は、和菓子屋チェーン店の社長のひとり娘と結婚し、引退後は社長を継ぐことが決まっていた。生まれてくる子供のために張り切る樹だが、彼にはプロ意識が欠けていた。
試合前の練習でホームラン性の当たりを連発するが、試合では全く打てない樹六破。樹は肝心の勝負どころでボール球に手を出してチャンスを潰し、守備でも足を引っ張り、そのせいで夏之介は負け投手になってしまい…。
首位浮上の原動力となった樹六破の当たりが突然止まり、優勝争いは大阪テンプターズとの直接対決に持ち込まれた。神宮での最終戦、樹の妻が緊急入院し、生まれた赤ちゃんが集中治療室に入っていると連絡が入り…。
ラジオの生番組に出演した夏之介は、あがらないようにと思って放送前にお酒を飲んでいた。ところが、アルコールと極度の緊張から本番でつい日本シリーズを批判するようなことを言ってしまい、スタジオは騒然となる。
夏之介の先輩である投手・是川が神戸の球団に移籍することになり、夏之介はユキちゃんがバイトする定食屋で是川と別れの食事をした。ユキちゃんや客たちが日本シリーズで盛りあがるなか、夏之介の心中は複雑だった。
スパイダースの控え捕手・東光は、とうとう戦力外通告を受けてしまう。球団からスカウト職を打診されるが、東光は現役にこだわっていた。一方、札幌パープルシャドウズの西河内も戦力外通告を受けていた。
スパイダース・ファン感謝デーのイベント「客席かくれんぼ」に参加した夏之介と渋谷章は、奇抜なコスプレでスタンドのファンの中に紛れ込んだ。ところが、紛れ込んだ先には夏之介が想いを寄せるユキちゃんがいた。
解説者の徳永は婚約し、来季の希望に燃えていた。ところがラジオ局の事情で、徳永は解説をクビになることに。そのことを徳永に知らせる役目を押しつけられた松本アナだったが、徳永はなかなか捕まらず…。
グアムから帰国した徳永は、夏之介と松本アナから解説者をクビになったことを知らされてショックを受ける。松本アナが福井にある独立リーグのコーチという就職先を見つけてくれたが、徳永の心は激しく揺れ…。
契約更改の真っただなかのプロ野球界。契約更改の前夜、夏之介は景気づけに憧れのユキちゃんが働く定職屋に行く。客に顔バレしたことがきっかけでユキちゃんに認識された夏之介は、契約交渉でも頑張ろうと決意する。
球団の査定と夏之介の希望額の差は、わずか100万。100万のために夏之介は必死にアピールして粘るが、球団は絶対に認めようとしない。激しいやりとりの末、とうとう険悪なムードになってしまい…。
プロ野球球団 神宮スパイダースに所属する左利きの中継ぎ、サイドスロー投手の凡田夏之介(26歳 独身)は、高卒プロ入り8年目で年俸1800万円。決して“一流投手”とは言えない待遇の選手である…
>>続きを読む©森高夕次・アダチケイジ/スカパー!・講談社