ひば

インベスティゲーションのひばのレビュー・感想・評価

インベスティゲーション(2020年製作のドラマ)
5.0
条件は"疑わしきは罰せず"、莫大で移り変わりの激しい海を舞台に供述を反証し殺人を立証する劣性スタートのかつてないほどの地味さを極めた約200日のお仕事ドラマ。死体も犯人も出ない。車映画?と思うほどの車内移動シーンの頻出率。とにかく何をするにも時間がかかることを強調し、遺族や捜索隊や専門家や解析いろんな人たちがお互いにイラついてるところが普通のドラマではカットされてるんだろう。実際に海で探してる人とブイが上がるのを待ってる人のタイムラグなんかもしっかりある。数メートル1ブロックずつ埋めるしかないなら逆に2ヶ月以上やってる忍耐に驚き。ボランティアがいるとはいえ夜に海は泳げないからロスも多い。しかも現場が海なので国境挟んでさらに捜査が遅れる。海での発見物の扱い方でさえ写真とって印送って保管方法も水をたくさんいれるとかそこまで見せることに時間をかける。右往左往と移動する時間の方がずっと多く海に答えを探しているのにすべてが海にあるわけではないむしろ海からなにも見つからないこの相反。遺族は参加させられないし、確認できたところで誰も喜ばないことを伝言ゲームするのが主人公。誰もが感情も声も表面上の変化が乏しすぎるため誰も怒鳴らんしただただ沈痛。沈黙とけたたましい着信音がかなりセンセーショナルを表している。電話があるとみんなじっと見てるのでもはや電話が物語を支配しているといってもよい。主人公は成果が光速にすら感じるから射撃が趣味(心の安寧?)なのかなと思った。
船舶ルート今はもう携帯の電波とかでわかっちゃうんだ現代技術ってすごいレーダーすごいね。惨い事件を公共の場で話すときは人目をいちいち伺ってたのも印象的だった。一番心に残ったのは、家に花持って人が並ぶのを見て、周りが死を認めて自分も認めざるをえなくなるシーン。いつのまに積まれたハート型の石。なんと残酷なあたたかさ。でも私たちこうやって見知らぬ人たちに守ってもらってるのね。絶え間なく続く苛つきは味方の多さを語っている。ただ粛々と仕事をしてる人たち、悲痛を共有する人たち、誰も知らない人たちのmercilessとempathy
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