このレビューはネタバレを含みます
3話はちょっと重めで、マルチ商法にも踏み込んだ攻めた内容。結局真面目すぎる人が潰れてしまう、病んだ現代。異なるシチュエーションだが、同じような理由、性格で潰れてしまった2人が家族や、見つけた心の支えで踏みとどまる。遠回しに届く感謝の意。これは神回だった。
シリーズ全体として、すべての回が解散ライブのコントの一編で挟み込む構成となっていて、実際の出来事とリンクしコントが生まれた歴史を遡るような構成になっていて、彼らが売れなかったことを物語るようにコント自体は絶妙に面白くないのだが、その生まれた背景を追うと様々な熱いドラマがあるわけで、その一つ一つが愛おしい。
夢が叶うことはなかったけど、3人で歩んだ歴史は人生の中でとても大切な時間であり、目指してたものとは違うけど思いがけず誰かの支えになっていて、続けてきて良かったと思える10年になる。そして、その思いを胸に3人それぞれ新しい別の人生に歩を進める。
売れっ子となる一握りの人以外の、多くの人たちが歩む道を、決して無駄じゃなく人生における大切な歩みであることを丁寧に描いた作品だった。安易に恋愛に発展させず、芸人とファンという関係から影響を与え合う関係性でそれぞれの山場を乗り越える力を与えてくれる。そんな不思議な力を見せてくれた気がした。
最期の締めも実に巧みで、タイトルともリンクするラストシーンは唸る。