たいよーさん

大豆田とわ子と三人の元夫のたいよーさんのレビュー・感想・評価

大豆田とわ子と三人の元夫(2021年製作のドラマ)
4.0
坂元裕二はドラマのシナリオにオチを決めないで走らせていると聞いたことがある。ふとした日常に落とす繋がりと死生観がグルグルと頭で余韻となって回り続ける。

結局全体像を掴めたわけではないのだけど、バツ3の彼女だって一人で生きてるようで誰かと生きているんだと気付かされる。かごめが亡くなったり、故人の母の秘密に触れたりして、「あの時は…」なんて振り返る。でも、それも含めて自身の価値観を形成していて、不思議と心がホワッとする。同時に、今ある可笑しさもいつか愛しさに変わるのかもしれないなんて思う。
キャストは凄く豪華でありながら、使い方は一長一短といったところ。あくまで流れの中で生まれた出会い、そして別れを繋ぐような感じなので、そこは致し方ない。むしろ、贅沢と言える。また、プロデューサーはTBSから移籍してきた方で、『カルテット』にも感じたような、丁寧かつ見逃せない会話劇を引き立てている。だから、引き込まれて離さない。だからこそ、じっくり集中して見なければいけない部分もある。いかに拾いこぼさないで見れるか…ってところでもあるのが、少しハードルを上げた気がする。

相変わらず鋭い着眼点でコミカルに描く坂元裕二。やっぱりドラマのシナリドラマの畑が似合うんだなと思った作品。
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