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レオナルド 〜知られざる天才の肖像〜のERIのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

1話。レオナルドがカテリーナという女性と出会って彼の好奇心や周囲の人との違いなどが描かれている初回。レオナルドがとても魅力的で続きがどんどん気になるとても良い作品。

ひとの営みを観察しながら彼が描きたいものに観ている私も魅かれていく。冷静に考えてみるとこの時代は絵の具を手に入れるのも一握りの人だけなんだよなぁなんて考えながら、なかなかうまくいかないレオナルドの葛藤さに感情移入していく。

才能は必ず誰かが見ていてくれていて、カテリーナはちょっとしたすれ違いでレオナルドと喧嘩をしていたのだけど、救ってくれたのも彼女だった。そこでマエストロにレオナルドの本当の才能が見つかり、彼に壁画を描くチャンスが巡ってくる。レオナルドのキャラクター設定が秀逸だ。


2話。全然知らなかったけれど、レオナルド・ダ・ヴィンチは同性愛者だとも考えられていたんですね。本作ではゲイであることが見つかって捕まったりしたという事実も描かれている。この時代は同性愛に対する理解が乏しかったからマエストロのところを追い出されてしまう。お金持ちの男爵から娘の婚礼の前の肖像画を頼まれ真実しか描けないレオナルドは、発注主を怒らせてしまうし、確執のあった父が施してくれた礼拝堂の壁画の仕事もうまく行かず、カトリーナも別の人生の歯車が動き出した。

3話。行き場を無くしたレオナルドはミラノへいくことにした。ミラノではたくさんの人たちと出会う。「芸術は自分を高めてくれるものだ」と真実を追いかけ続けるレオナルドと俗世に揉まれながら、それこそが新しいアイデアや真実への入口となる。レオナルドの比類稀なる才能は男も女も魅了して、彼が作った舞台は美しく世界を象徴するようで素晴らしい(これだけでも観て欲しいぐらい)

4話。大きな仕事が入ったレオナルドはそれに夢中で周りの出来事に目が入らない。カトリーナはレオナルドへの愛に嫉妬され大使と別れ、宮廷に残るために流れに身を任せていた。ミラノ公爵の甥は誰とも会わせてもらえず寂しい日々を過ごしていた。サンセヴェリーノに命を狙われたジャン王子は突然、熱病にかかりころされてしまう。

5話。彼の芯となっている「裏切り」をテーマに描かれたミラノの修道院にある「最後の晩餐」。私も実際生で見た時言葉を失って、感動しすぎたから重なって仕方がなかった。自分のイメージする世界を、まだ観ぬものたちが信じ続けることの難しさ。天才とそんな彼を支える人たちの隙間に少しだけ切なくなる。

6話。才能は権力に目をつけられやすい。愛を失ってフィレンチェから逃げ出したレオナルドは新しい野心に新しい課題を与えられ、水路を作ったり、鳥の目でみた地図を描く(手押車を使った距離の計測など頭が良いだけでなく知的忍耐力が凄まじい)。次に与えられた課題は100人を殺せる武器を作ること。街には戦争が近づき、不本意なことをやり切らなければ愛する人に会えずにいた。

7話。レオナルドとミケランジェロが同時代に生きて出会い影響しあっていたことは今となってはかなりエモい。5歳で捨てられてから一度も愛されなかったと思っていた父が死に、これまで見えてなかった愛情や父親の後悔に気づく。失ってはじめて自分にとって必要なものがすぐ近くにあったことがようやくわかって情熱を注いでいた雇われの絵を描くという仕事と決別する。

8話。ついに最終回。ミステリーとしての謎も愛の行く末も食い入るように観てしまった。モナリザの微笑が完成して本当によかった。レオナルド、とても魅力的な人だ。
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