七彩

ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士ですの七彩のレビュー・感想・評価

5.0
『あなたの最後の引っ越しのお手伝いをします。』から始まる遺品整理士のおはなし。

アスペルガーという特性を抱えながら亡き父の遺品整理士を懸命に継ぐ主人公と、心に傷を負っている荒くれ者の叔父が、衝突し合いながらも絆を築いていく様を遺品整理を通して描くのは新鮮で面白かった。

まだ世間一般で、遺品整理という仕事についてイメージがついていない中で『天国へのお引越しを手伝う』という提示はかなり良かった。作中で主人公・グルがクラシック音楽に乗せて黄色の箱に遺品を入れていくシーンは象徴的で、まるで故人の一生の歴史を詰め込んだようだった。制作者の故人から遺品整理の仕事へも全部へのリスペクトが伺えた。

遺品整理をする中で、様々な社会問題や人間模様を盛り込んだ脚本はあまりにも素晴らしかった。特に5話・6話はリアリズムが効いていて、しかしフィクションとしてすんなり見れる作りになっていて良かったと思う。このドラマは全体を通してサラッとみれるのがたくさんある魅力の中の一つでもある。

また韓流ドラマお得意の作り込まれたキャラクターと関係性はピカイチで、もれなく全員のことを好きになれた。アスペルガーの主人公、荒くれ者の叔父、世話焼きな隣人が織り成す絆はみていてほっこりする。

そして、これは「愛の不時着」や「椿の花咲く頃」辺りから感じていたことだが、最近の韓流ドラマは意識的に血の繋がりがない家族愛を描いている気がした。血の繋がりがなくても、愛することは出来るという証明をしてくれるストーリーはきっとこれからたくさんの人を勇気づけてくれるはずである。その例として、このドラマは全体を通してそれを描き切った。

愛の不時着の五中隊のマンネくんに釣られて見始めたが、予想よりかなり良いドラマでとても満足。続きが出そうな予感がするので、首を長くして待つつもり!
七彩

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