素晴らしい。おじさんがご飯屋さんでご飯を食べる、ただそれだけのドラマです。なんの物語性もなく、感情が揺さぶられるような描写もありません。しかしそれでいい、いや、それがいい。なにかとメッセージ性の強い作品が輩出される昨今、こんなにも心穏やかに、焦燥感なく見れる作品は貴重です。途中ヒューマンドラマのような展開も見られるのですが、すぐに、「腹が、減った」と抜かし定食屋に歩を進める井之頭五郎。彼は結婚しない理由を「人生が重くなるから」としていますが、本当にそうなんだなと思わせる淡白さです。現代人には彼のようなある意味での「軽さ」が必要なように思われます。なにかと生きづらい世の中ですが彼のような余裕とウィットを持って生きたいものです。
