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いだてん~東京オリムピック噺~のTaulのレビュー・感想・評価

5.0

<第3回まで視聴>
『いだてん』が面白い。題材どおり疾走感たっぷりの脚本演出や音楽で、近現代の時代のうねりの中での人間たちの躍動が飛び出してくるようだ。時空超え、オープンセット、サブカルと好きな要素も多い。大河への挑戦は明白だし、オリンピック賛歌の中にも現代的な批評の視点も見られると最高なのだが。

『いだてん』ちょっと期待してるのはオープニングで素材が使われている映画『東京オリンピック』のエピソードがないか。市川崑の記録性より芸術性で選手に迫った名作だが、大臣が批判してそれに高峰秀子が噛みついたのが有名。体制に屈しない映画人の気骨が感じられる痛快な逸話。映像で見たいなあ。

<第7回まで視聴>
『いだてん』がやはり面白い。有名な人物が人間くさくジタバタし、市井の人も負けじと個性があり絡みあって歴史が動いていく一体感。時代のジャンプも「今」に飛び込んできそうな地続き感だ。そして笑いの中ふいに知る熱い思い、その汗と涙。その一滴一滴が集まってこそ大河か。見守っていきたい。

<第11回まで視聴>
涙と笑いでスッキリして新しい1週間への力をもらえる『いだてん』。体制や組織の話でなく一人一人の苦悩や情熱の話だし、映画愛溢れるクドカンで最初の監督候補の黒澤明も取り上げられたので市川崑の話、期待がもてる。

<第23回まで視聴>
『いだてん』毎回正座して見てる笑。この期待した批評の視点だが、どんな事実も人間賛歌のドラマに昇華しながらちゃんと現代に問いかけてるのが驚きだし素晴らしい。敗者の気持ちと接し方、個性の活かし方、古い考えの去り方、女性とスポーツ、そして災害時の人の思い... 最高のクドカン大河だ。

<第1部終了>
偉人伝臭がする努力やモノローグで語るのではなく、こんなにも日常の泣き笑いの感覚で描いてくれる大河ドラマはない。オープニングで選手と市井の人を並べて謳う、あの感覚に心打たれるのだ。彼の走る姿を本当に見た気がする。いだてん、ありがとう。第2部も楽しみ。

<最終回まで視聴>
『いだてん』最終回を涙で見た。大河ドラマにこんなに夢中になるのは始めてで見たことないような「貴重な面白さ」だった。日本の近現代史は残念ながら「戦争」で覚えてきたが「オリンピック」というスポーツからそれも結果ではなく市井の人たちの思いと現在への問いかけの視線をもって見られるなんて。
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