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いだてん~東京オリムピック噺~のakのレビュー・感想・評価

4.5
19世紀末からの激動の日本に置いてスポーツがどのような変遷を定着していったのかが東京オリンピックをゴールに描かれている。私達がスポーツを当たり前に行うこと、学校で体育を行うことがこれらの時代の結果だということで現代を生きる自分でも彼らの存在を感じることができる。
金栗四三はスポーツの先駆者だ。オリンピックに3度出場や世界記録の複数更新など外から見れば輝かしい人生だ。しかし、視聴者である我々はそのように評することができないだろう。彼は全てを犠牲に走り続けたが、オリンピックでは一度も満足できる走りが出来なかった。一つ理由を挙げるとしたら環境だ。オリンピックへの道のりや戦争、とても彼が闘える問題ではない。しかし、彼は走り続けた。生涯自分の足で彼は自分の思いを簡単に伝え続けた。ただ走ることが好きだったのだろう。負け続けても心が望んでるから続けることができる。人間の最大の敵は環境であるから、自分の後悔のない生き方をするためには目に見える結果ではなく、自分が満足していく方向に進んでいなければならないと痛感させられた。
金栗や嘉納の思いは水や空に伝搬していく。しかし、事が大きくなりすぎると自分達では解決出来なくなってしまう。これは現代文化の弊害だ。究極的には文化というのは個人が満足すれば十分なのだ。それが顕著に現れてるのが陸上や水泳だ。しかし、力が巨大化していくと社会全体の物になっていってしまう。商業化していくスポーツというのは本来の在り方なのだろうか。
多様な人物が登場してくるため、色々な角度から近現代を味わう事ができた。色々な事を感じながらも、最終話と学徒出陣の万歳の対比などは感極まった。彼らが伝承してくれたものを競う事なく、個人で満足する事が僕とスポーツがうまく繋がっていく方法なのであろう。
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