香

アンブレラ・アカデミー シーズン1の香のレビュー・感想・評価

3.7
My Chemical Romanceのフロントマン、ジェラルド・ウェイ原作のアメコミドラマ。
MCR目線で言うと「I’m Not Okay (I Promise)」や「Na Na Na」で見せた“弱いのに強がるナードさ”、“不完全なヒーロー”といったヴィジョンの延長線上にある感じで、まさにジェラルド・ワールドと呼ぶべき世界観。

ヒーローものには彼らなりの欠点がつきものだが、アンブレラ・アカデミーの一族はむしろその欠点こそが最大の特徴である。
身体的コンプレックス、メンタルヘルス、ドラッグ、ネグレクト…あらゆる問題を抱えたアカデミーの兄弟たち(ジェラルドの半生のあらゆる要素を投影させているようだ)は「機能不全の凸凹ファミリー」と呼ぶに相応しく、それぞれが超人的な能力を持ちながらもそれを事態のプラスに作用させることができない。
数日後に迎えるというアポカリプスを前に、ポップに失敗を重ねる彼らの活躍(?)が存分に楽しめる。

やっぱり選曲が素晴らしくて、何か突拍子もない演出で使われるというかは、あるべき時に100%正解の音を当ててきているようなイメージ。すなわちどれも気が利いていて、月並みな言葉だけどとてもセンスが良い。
そんな音楽の力に後押しされながら、ハーグリーブス家のダメダメ集団が慌てふためくのだから、これが面白くないわけがない。
香