三日連続ピザ

DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機の三日連続ピザのレビュー・感想・評価

5.0
オキシコンチンの依存性を隠した製薬会社と、その悪事にさまざまな立場から立ち向かう人々の姿を描いたサスペンス&ヒューマンドラマ

サックラー一族はその依存性や危険性を知りながらオキシコンチンの売り上げ拡大のため、嘘の広告、賄賂による医者や行政および政治の買収により、アメリカ史上で類をみない早さで依存症患者と死亡者を出したオピオイドの拡販を広げる。
知らず知らずオキシコンチンの犠牲になる肉体労働者、自身も依存症となる医師、オピオイドとサックラー一族に立ち向かうDEA職員や検事たちが、それぞれの立場から小さな一歩だけど大きな打撃をこの問題に与えて解決の道を切り開いていく。

まず物語の構成、そしてそれぞれのキャラクターが素晴らしい。

メインのストーリーは、2軸。犠牲者になった患者の立場から描かれる依存症の物語と、サックラー一族の罪を明らかにするDEAや検事側のサスペンス要素で成り立っている。
秀逸だと思ったのは、なぜオキシコンチンによって依存症になり町の犯罪が増えて、ヘロイン中毒まで増えるのか、文字面からだけでは想像できなかった、そのプロセスが丁寧に描かれているところ。また、依存症は誰でもなる可能性があり、それは差別や孤独など小さな痛みがキッカケになる可能性も示唆してる。
さらに、DEAや検事側が、サックラー一族の巨大な資本力に翻弄され(主に政治家や検察、地域住民の買収)によって、仕事や生きる気力さえも失われ、まるでオキシコンチン依存症による虚脱状態に陥る点が描かれている。これは資本主義が食い物にした市政の人々の話でもある。

またもう一つ、サックラー一族の場面もある。一族間の小さなプライドと見栄の張り合い、そして権力争いと、親族間の復讐劇において、オキシコンチンはそこで勝つための道具でしかない。
彼ら一人一人の野心や傷心が組み合わさって大きな歯車となり、やがてアメリカ全土で400万人を苦しめる薬を作り上げる。売り上げを失うことにより彼らはdopesickを引き起こすかのように、新たな利益を生むためのヤバい薬を開発し、さらに買収をすめる。

だが、この一人一人の考えや行動が大きく社会に対して作用するのは、正義の場合も一緒であることが示される点で深く感動した。
たくさんの人たちが一歩、また一歩と前に進んだ結果、行政を司法を動かすこととなるシーンは最高。

そして、サックラー一族の弁護を引き受けて、司法署内部から起訴を取り消そうというクソみたいなロビー活動をしたジュリアーニはマジで地獄行きだと思う。
三日連続ピザ

三日連続ピザ