湯っ子

ある結婚の風景の湯っ子のレビュー・感想・評価

ある結婚の風景(2021年製作のドラマ)
4.0
オリジナル鑑賞後、こちらも気になって観てみました。
舞台っぽい演出のオリジナルへのオマージュなのか、カチンコを鳴らすところから始まる。オリジナルにしろ本作にしろ、現実に夫婦が間に子供やらテレビやら、現代ならスマホやらを介さずにあれだけガチンコな語り合いをすることってそうそうないと思う。だから「これは作り物ですよ」ということを宣言しているのかな。フィクションだからこそ本質を描けるというのが、映画を含むすべての創作物に出来ることだものね。
本作ではオリジナルでの役割を男女逆転している。結婚生活を破綻させる決定的な行動を取るのは女性の方。女性はバリキャリで多忙で高収入。男性は大学教授で時間に余裕があり、主に家事や育児を担っている。夫婦の力関係というのは、やはり経済力で決まるし、個人的には表向きをそうしておくのがいちばん丸くおさまると思っているんだけど、これを当然としてはいけないとも思う。
オリジナルは50年前の作品ということもあり、「いつまでも子供のような男とそれに翻弄されながらも実はしたたかに男の尻尾を握ってる女」みたいなところに落ち着く感があって、同じ女である私には女性側に感情移入がしやすかったが、本作の女性には全く共感できるところがなく、だからといって男性にも感情移入ができなかった。
自分自身の古い価値観も試されてるような気もして、オリジナルとはまた違った感触を持った。
湯っ子

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