湯っ子

丘の上の向日葵の湯っ子のレビュー・感想・評価

丘の上の向日葵(1993年製作のドラマ)
4.2
山田太一氏の訃報から、リアルタイムで観ていたこちらを。やっぱりすごく面白かった。

ご冥福をお祈りします。

ハタチ過ぎの当時にはわからなかったが、いわゆる「中年の危機」を描いたドラマだったみたいだ。自分の人生これでよかったのか、このまま老いていってよいのか。四十にして惑わず?とんでもない…
平凡な中年男性のもとに、ある日突然美しい女があらわれて、「あなたの子供を育てています」と言い出す…、謎めいた女を演じる島田陽子が、なんだか浮世離れしていて、どこかインチキくさくもあり、全て見届けたあとでも、この一部始終は男の夢だったのではないかとも思えたりもする、匙加減が絶妙。
ひらたく言えば不倫の恋がメインなのだが、なぜ当時の私がこのドラマを熱心に観ていたかというと、この島田陽子の息子役の筒井道隆がとても良かったからだった。
昔の想い人に再会したような気持ちで、すんごくキュンキュンしたし切なくなったし何度も泣いた。バイク事故で下半身付随になった青年を演じていて、改めて素晴らしかった。自分のことばっかり考えて右往左往する親たちに振り回されながらも、いちばん大人なんだよ…この息子が。
彼との切ない恋の相手は葉月里緒奈。とても初々しく、「魔性の女」の片鱗は感じない。

30年前のドラマなので、会社内でのセクハラについての描き方なんかには時代を感じる。ここで変人扱いされてる若者(野村宏伸)の見解が、現代では主流だよなぁ。
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