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カウボーイビバップのpenのネタバレレビュー・内容・結末

カウボーイビバップ(2021年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

実写のスパイク、ジェット、フェイが好き。
ジェットに娘がいる設定は最初は驚いたけど、その娘の為に人形を手に入れようと奔走するエピソードは愉快だし、代わりに手に入れたのが犬のアインだった……というアレンジも結構好きだ。フェイが実写とはまた少し違った性格のキャラクターで登場しているのも、これはこれでアリだなという動きを見せる。だからこそ7話の彼女の記憶に迫るエピソードなんかはオリジナル色が強い中でバカバカしさと切なさが混在し、多分このシリーズの中では一番好きな回だった。3人が釣りしたり場末のボーリング場でボーリングしてる姿は長閑で印象深い。
アインは実写でコーギー出してきたら問答無用で可愛い。

と、上に挙げたような魅力があるからこそメインストーリーが残念。そもそも原作自体、中盤と終盤にスパイクの過去が絡んでくるが、基本的にはそれらとは関係のない、サブエピソードの集まりだ。だからこそ広い宇宙では色んな出会いと別れ、様々な人が生き、事件があることを感じさせ、勝手に見てるこちら側が余白部分に思いを馳せる。

本作は原作のそうしたサブエピソードを幾つか採用し(選ぶ作業楽しそう)、ほぼ全てをヴィシャスのいる組織絡みへと繋げていく。
そうして描かれていくのが、スパイク、ヴィシャス、ジュリアの関係性だ。この3人の関係を核としてそこに全てが収斂されていく。その為に、なんだか狭い世界の群像劇になってしまった印象が強い。
群像劇の形式を取った為に敢えてぼかしていたキャラクターの過去等にもあらゆる背景が肉付けされ、手堅く纏めていこうとする。
シナリオの作り方的には正しいのかもしれないが、そのように型にハメなくても良かった気がしてしまう。殊にこの作品については。

そして評判がよかったら続きがあるかもしれないね……といったドラマシリーズの作り方にも限界を感じる。そのようなクリフハンガーはもう時代遅れじゃないだろうか、と考えてしまうのは辛辣か。

付け加えておきたいが、菅野よう子氏を迎えて音楽に気合を入れているのを明らかにし、原作に登場するアイテムや衣装など、原作関連のファンサービスは有り余るほどだ。だからこそシナリオ部分で型にハメて安牌な手を取ったように感じられてしまうのが残念だ。
またあの3人が見たいのだが、どうなるだろう。
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