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智異山のmofaのネタバレレビュー・内容・結末

智異山(2021年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


 色々、情報では評価良くなかったので、
どうかな~と心配していたけど、結果、
私には、とっても面白かったです。
  
キャストだけ観ても、
面白くないワケないやろう~と思うけど、
いかんせん、ファンタジー要素が
中途半端に入ってしまっていたり、
時間経過が行ったり来たりしたり、
なかなか事件が進まないので、
そういう面で、
マイナスになったのかな・・・
って思ったりしました。

とはいえ、最後まで引っ張る脚本も巧みで、
飽きさせない要素も十分にあったし、
とにかく、レンジャーさんって凄い!!
自然って怖い、山って怖い!と、
思えた事だけでも、作品としての価値は、
充分にあったのだと思います。

特に、オジョンセ様の恋人が、
一瞬の内に波に飲み込まれてしまったのは、
恐ろしかったです。
 こうして、命をかけて、
人を助けてくれているのだと。
レンジャーだけでなく、世の中には、
こういう危険を伴う仕事を
選んで、人を救う事を職業にされている
という事実を、
改めて感じた次第です。

 そして、
こうして犠牲になってしまった方には、
それを深く悲しむ家族や、
恋人の存在があるのだと、
オジョンセ様の、何とも言えない演技に、
思い知らされました。
 レンジャーたちの働き、
彼らの試練や苦悩、
喪失感を描く事で、私たちに、
とても大切な事を考える機会を
得たと思います。

自然の怖さ、美しさ。
自分を過信しないこと、
助けて貰える事は当たり前ではなく、
その人自身をも危険をさらす事になるということ。

山登りはしませんが、
自分の身・家族の身は勿論のこと、
レンジャーたちのような第3者の存在、
その向こうの存在の事まで、
考えて、
行動できる人間でいたいと思います。

このドラマで出てくるような、
私利私欲の為に、
人様を危険にさらすような
一般市民にはならない事を、
ジフニ様に誓います!!!

 そういうメッセージを
しっかり描く事が出来たのは、
山の美しさと厳しさを映した出した
迫力ある映像と、
キャスト陣の山を走り抜ける
躍動感ある演技。
そして、山を愛しながら、
憎しみ・恐れを抱く姿の、
緻密な演技なんだと思います。

 特に、オジョンセ様は
素晴らしかったと思います。
恋人を失い、号泣し、山を憎み・・・・

けれど、最終的には山と恋人への愛が、
結晶となって、
彼の心に残っているという姿は、
災害の多い日本で、
人々が感じる感覚と重なっていきます。
 切っても切れない、いわば共存です。
私たちは、自然を愛しながら、
その恐ろしさも厳しさも知り、
勝ち続ける事は出来ないのだと
自覚せねばなりません。
 自然の前では、傲慢にならず、
享受する恵に感謝して、生きていく。
オジョンセ様の一連の演技
(恋人を失ってから~最後まで)から、
そんな事を考えさせられました。



ファンタジー要素の着地も、
すっごく良かったと思います。
最後、ヒョンジョが
生きていたというのは、
大正解です!
私的にはですけど。
 幽体離脱的な事象が、
ヒョンジョの犯人を捕まえたいという
固執に起因しているという事が、
理解出来るんですよね。
 それは、イガンに止められても、
自分で犯人を捕まえようとする姿勢から、
納得出来るんですよ。

ただね・・・・
イガンが途中で、
「山を愛した男」みたいに
ヒョンジョの事を言うんですが、
そこには違和感を覚えました。
イガンやその他の隊員は、山を熟知し、
その恐ろしさを知りつつ、
愛している・・のとは違った要素が、
ヒョンジョにはあったと思うんです。
それは、
「部下を殺害した犯人を捕まえる」
という執念に
他ならなかったと思うんです。

とすると、何が不足していたかというと
部下との絆・・・みたいなシーンが、
もう少し欲しかったな・・と
思うんですよ。
 部下とのシーンが、
さらっと描いているので、
その辺りの理由付けが弱かったかな・・・と。
 ただ、ジフニ様の犯人に
執着する演技とかあったので、
最終的に、その目的が達成された事で、
復活する・・・という流れは納得出来は
したんですけどね。

 ちなみに、このヒョンジョが最後、
死んでしまうんじゃ??という危機感を、
最後まで維持出来た事が、
この作品の面白さであったとも思います。
ラスト、復活したヒョンジョが、
イガンの視界に映った時の、
あの美しさったら!!!
 朝日も相まって、胸がときめいたわ!!

そういや、サラッと
イガンも最後は歩けるように
なってましたね。
これも、精神的なモンだったって事かな~。

正直、経過が長すぎる上、
あまりに、人が死に過ぎて、
もう、誰が犯人でもいい!
・・・という境地になったのは確かです。

 これ、犯人に勝ったのかどうか・・・
という点でいうと、
完全に負けてますよね???

どんだけ人、殺してんねん??
って思うし、
しかも、
最後は、土砂崩れで呆気なく
死んじゃうワケでしょ??
何だか、全然、スッキリしませんでしたね。
 ただ、相手が山を知り尽くしているが
故なんでしょうが、
イガンたちも知り尽くしているワケです。
 なら、もう少し、
食い止める事が出来なかったのかな??と
私は、思うね!!!
 特に、所長よね!
怪しいと思いながら、
黄色いリボンを隠し持って、
どうすんのさ!!って思うワケよ~。

自然の驚異に負けるのは仕方がないですが、
犯人には、勝って欲しかった!!



そして、納得いかない事
ここでも出てきましたよね・・・
「恨(ハン)の文化」ってヤツですよ。

ばーちゃんがバスの事故で死んでしまって、
何故か、ヒョンジョに
「あなたのせいよ。
私のたった一人の肉親だったのに!」

・・・って言ってのけたわね??

はぁぁぁぁぁ~~~????って感じでした。
 
もう、マジで、
いっぺんでイガンが嫌いになりました。

そのたった一人の肉親を、大切にせず、
家出してたの、
誰やんねん!!って感じですやん???

なのに、ヒョンジョたら、
健気にそれを受け止めてさ~!!

で、ヒョンジョが倒れたらさ、
「私が1番信頼した人」とか
言ってるやん???

どの口が言うてんねん!!!!
って感じですよね。

もう、ホント、
この「恨(ハン)の文化」には、
毎度、イライラさせられます。

 あとはさ・・・
あの山火事起こした、あの嫁は
どないなってんねん!!って感じですやん??
子供たちが放火に巻き込まれて、
ちょっと改心した・・・
で終わりなワケ???
 そもそも、レンジャーさんたちに、
あんなに偉そうな態度してたクセに!!!!

あとね。
邦画問題ですよね。
「君へのシグナル」がさ。
どう考えても、ヒョンジョから
イガンが「君」ってのは、
おかしいと思うんだよね。
コレ、付けた人ドラマ観たんかいな・・・。
不要だとも思うけど、
付けるなら、「あなた」なんじゃないの~??って。
細かくて、すみません。


・・・と、納得いかない点もありましたが、全体的には、
映像的にもキャストの演技的にも、
大満足のいくものでした!

とにもかくにも、この過酷で長い撮影を、
大きな事故もなく終えた事。
本当にお疲れ様でした~と言いたいです!!
mofa

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