たいよーさん

恋せぬふたりのたいよーさんのレビュー・感想・評価

恋せぬふたり(2022年製作のドラマ)
4.1
最終回を観るまでしばらく経ってしまった。「アロマンティックアセクシャル」を丁寧に描きながら、凄く高度な着地を見せる。凄く真面目で優しい作品。


一見すると高度な考えに感じるが、それを理解しようなんて思わなくても良い。本来は自分らしく生きようとするのが人間だし、そこに形を求めることで生きにくくなる。少数派の志向かもしれないが、抱えた思いに向き合って答えを出す過程は、きっと誰でもある話なのだ。

「アロマンティックアセクシャル」を初めて聞いたし、そういう人も多いはず。恋愛・性的感情を持たない人を指す言葉、そこから始まり、ふたりの生き方を見守っていく。いくつも障害を乗り越えながら、過去や現在を見つめながら、生き方を問う。その過程の複雑さを多くの例示と共にハードルを下げてくれたからこそ、見易くなったのだと思う。

岸井ゆきのさんと高橋一生さんのふたりがとにかく魅力的で、硬派だけど柔らかく映る。岸井ゆきのさんの視点があったからこそ、共に学んでいく感覚になる。高橋一生さんがいたからこそ、他人と交わっていくことの難しさを改めて感じられる。北香那さんや小島藤子さんといったキャストによる「見つめる」視点も良かったし、濱正悟さんの学ぶ姿勢にホレボレしてしまった。本当に視野が広く落とし込まれ、良作になったと思う。


「よるドラ」枠はまた変わってしまい、残念だが、相変わらず良いドラマが揃っていた。新生「夜ドラ」枠も頑張ってもらいたい。
たいよーさん

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