強烈だった。
ヨンサンホ監督、ブレないな。。
監督がアニメ時代からやっている、宗教の欺瞞や人間の浅ましさに対する皮肉が濃く出ていて見応えありました。没入感もあり、映画3本分くらいの内容を6話にした編集力は凄い。
「演技派」勢を贅沢にキャスティングして、心理描写は演技に委ねた演出。
ユアインの1人台詞のシーンは鳥肌ものだった。歪みを完全に正当化した人物の前では歪みが消えてしまう怖い感じがモロで、カルト教祖って権力をよく現していたなと思う。
黒沢清監督の「CURE」の萩原聖人を観たんじゃ無いかと類推する。
この作品はポンジュノやパクチャヌクもフェイバリットにあげてるのでぜひ。すごいです。
神や正義って言う大義名分を暴力の根拠にする、超常現象に解釈をつけて理論づけをする、、わからないもの・不可解なもの・解答が無いものへ大きいもの（神とか）を出す危険性。
カルトと正義は混ぜるな危険なんだよな。
オウム真理教の「ポア」という例のアレは、その人のカルマを無くしてあげるものとして信じられ、多くのリンチや暴行を生み出したのを想起した。
罪があるから裁かれるのだ→だからリンチしてもよい（これは神の意思にそぐう）っていう思考回路になって倫理観が崩壊したモブの浅はかさや、警察・弁護士・メディアPDと社会倫理の瀬戸際にいる職業人たちを配置したのも冴えてる。
刑事は娘のために職業倫理を天秤にかけられ、弁護士は人権のために尽くすが運命的な成り行きに無力で、PDは報道の対象から渦中の人となり家族を選ぶ。。。
善悪ではなく功罪に目が向気がちな人々へのすごく深い疑問と問いがあった気がする。
今作では謎の黒ゴリラが、「地獄に落ちる」という預言を聞いた一般人を痛めつけて焼いちゃうけども、その現象については一つも解明され無い。徹底的に謎なのは意図的なもので、超常現象や異常気象、感染症など目に見えないものに意図を付与する人間の業がひたすらに恐ろしい。
良作でした！シーズン2あるなら絶対見るし、今度は超能力を持つ未成年がとんでもないバケモンになるやつみたい。天草四郎とかMONSTERのヨハンみたいな。
監督の「サイコキネシス」は超能力父ちゃんがめっちゃ頑張る話だし、構想にあって欲しいな。
