カズミ

サンドマンのカズミのネタバレレビュー・内容・結末

サンドマン(2022年製作のドラマ)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

予告を見て、DC原作のダークファンタジーだと知り、ずっと楽しみにしていたのだが、予想以上だった。
ブレない主軸がありつつも、エピソードごとにオカルトが強めだったり、ヒューマンが前に出たり、とテイストが変わって面白い。
夢や欲望といった抽象概念が兄弟である、という設定に加えて、ルシファーやカインとアベルといった聖書ベースの人物、カリオペなどのギリシャ神話のモチーフも多分に登場し、毎話ワクワクが刺激される。
要所要所で目を覆いたくなるグロテスクなシーンも確かにあるが、18+制限で構えていたよりは全体的にファンタジーな印象が強めでほっとした。

どことなく『コンスタンティン』を彷彿とさせる世界観だなあ……、と眺めていれば、予想外に彼の親族が現れ、仰天。
小学生の折に、やたらと惹かれた『コンスタンティン』が実はDC原作の登場人物だと知り、更なる驚愕。そうか。知らず知らずのうちに、私はDCに惹かれる運命にあったのか。

歴代の好きな映画を詰め込んだようなストーリー展開や作風の嵐に、好きなシーンは多くあれど、特にモルフェイスとルシファーの戦いと、デスを描いた6話が強く印象に残っている。
具現化する幻想の力比べなど、いかにも悪魔と夢の戦い方のようで唸ってしまう。
不穏な兄弟が多い中で、“死”という概念を司るものがあれだけ穏やかに、寄り添うような優しさをもって描かれているのにも心が掴まれる。
悪魔や悪夢など、大層なキャラクターが大量に出てくる中で一番ゾクッ、とするのがただの人間であるジョンの回である、という点もポイントが高い。嘘を嫌い、真実に固執する彼に、真実・現実の中で語られる虚言は、時に嘘ではなく夢だ、とする解釈がモルフェウスならではでとても良かった。
あの有名な殺人を繰り返しながら兄を許し続けるアベルたち兄弟をコミカルに描いたり、出た瞬間から魔法使い感漂う水夫の楽園、与えられた役目の中で惑う悪夢たちなど、惹かれるキャラクターは数えきれない。

最終話が単体の話として独立しており、消化不良感が否めないが、これもシーズン2への伏線なのかも──と思えば飲み込める。まだまだ解決が待ち遠しい設定が盛り沢山なので、次が配信される時が待ちきれません。
カズミ

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