LGBTQ当事者による、当事者のための物語であり、「自分には幸せになる資格がある」と思わせてくれるエネルギーが作品のベースになっている。
ハートストッパーの登場前と登場後では歴史が異なり、新たな時代を築いたと言っても過言ではないくらい、クィア作品のロールモデルを作ったように思う。
原作通りのキャスティング、ハッピーな気分を増幅させる印象的な音楽はもちろん、ニックとチャーリーの馴れ初めが原作同様に丁寧に紡がれる。かつ、お花や稲妻などのエフェクトも合わさってドラマでありながらディズニーのアニメを観ているような色鮮やかさも感じられる。
また、これまで正面から描かれてこなかったように思うバイセクシュアルの物語であることも素晴らしい。“性は流動的で絶えず変化するもの”という視点がニックを通してエモーショナルに描かれていく。
誰もが「ティーンの時に出逢いたかった」と言う、愛すべき心のお守りとなるような作品。