大爆笑カレー

ウェンズデー シーズン1の大爆笑カレーのレビュー・感想・評価

ウェンズデー シーズン1(2022年製作のドラマ)
4.2
クィアベイティングだという批判があったようだけど、クィアの問題を問題にしないことがクィアの問題へ取り組みになってくるフェーズではあるんじゃないかな、、、と思ったりします。

LGBTQ+を象徴するレインボーカラー、そこからはこぼれ落ちる『白』と『黒』をまとう、根暗でナードな悪趣味ティーンは、捻くれてるし偏見まみれの他者を拒絶する差別主義者のようにも見える。大胆にもそんなキャラクターを主人公に置いて成立できちゃうのは、ウェンズデーがティーンの女性だからなのは間違いないだろう。
ティム・バートンは『個性的すぎて周囲から孤立する奴』の悲しい話やそいつが救われる物語を繰り返し描いていたが、本作のウェンズデーは『個性的すぎて周囲から孤立する奴』なのに悲しみを抱えていたりしないしなんなら自己肯定感が強くてその孤立を楽しむヤバい奴だ。そのせいで周りに迷惑をかけて本当に人を怒らせ、本人も少し反省したりもするが、まわりもまわりで「めんどくせ~けどおもしれ〜女」としてウェンズデーへの関係を少しずつ更新し付き合ってくれる。
なんとも優しい世界であるが、めんどくさい奴ともそれとなく付き合っていくことが現実的な多様性のあり方のようにも思えてくる。端的に言うとオタクをキモいとか言うなよ!みたいな話だ。オタクも卑屈になるな!みたいな話だ。

先述したとおり、一歩間違えれば政治的にアウトなウェンズデーを私達が受け入れられるのは、彼女が若い女性だからだ。その構造自体があらゆる意味で差別的と言えるわけで、十分に批判できる問題ではあるだろう。だが、めんどくせ~がおもしれ〜ドラマでもある。
何より役者がみんな魅力的だしね。