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アンナ ディレクターズカット版のsoraのレビュー・感想・評価

3.9
あまり見たことのないタイプのドラマでした。ドラマというより、映画のような味わい。小説が原作というのも納得です。
ムダな説明を省いたミニマムな世界をセンス良く表現している作品でした。

なぜディレクターズカット版と6話版が存在するかというと、監督と制作会社の揉め事のせいらしいですね。
6話版もチラッと見てみたけど、そちらはいきなり冒頭にラストの場面を持ってくるとか、サスペンス色を濃くした構成になっていて、やっぱりこちらの方が監督の世界観がそのまま表現されていると思います。


ヒロインのスジは「ドリームハイ」のピチピチした高校生役から10年。バッチリメイクのあの頃とは違って、ほぼノーメイクの高校生役が自然すぎました。
冒頭の🇺🇸奥様に言われたことを守るかのように、笑顔を封印した覇気のない表情で、美しく影のあるアンナをうまく演じています。


ここからはネタバレ入ります。






まず私は、アンナ(ユミ)にどうしても共感できませんでした。
決して裕福じゃない家庭で、しかも母親は障がい者。なのにその親たちを騙してお金を工面させている。ユミのウソを信じたまま亡くなったお父さんが不憫すぎます😭😭😭
教師とのスキャンダルは同情できたとしても、その後、立ち止まる瞬間はいくらでもあったのではないかと。

ところがウソで塗り固めた生活を見ているうちに、アンナは何を得たいんだろう?どこにたどり着きたいんだろう?と、そんな興味が湧いてきました。
もともと賢くて美しくて、内面的なスペックは高かったユミ。足りないのは外側を覆う、学歴や家柄という鎧だけ。
本物アンナの衣装部屋でルブタンのハイヒールを履いてみたシーンが、その気持ちを象徴しているかのよう👠🤔

そして、運命のいたずらか、とんでもない男に引っかかってしまう。(いじわるな言い方をすれば自業自得です)
結婚相手のジフン、どこかで見たことあると思ったら「賢医」の好感度抜群なアン先生でした!
あの誠実な医者とは真逆のほぼサイコパスなパワハラ男。
叙情的なストーリーにおいて、この夫近辺の政治的などろどろ感はいつもの韓ドラでした😅

「私は心に決めたら何でもやり遂げる」
この言葉がアンナの行動すべての原動力となっていたのかもしれないけど、個人的にはやっぱり最後まで共感できず😢
ヒロインだから応援したい気持ちもある一方で、早く世間的に明らかにして、重い鎧を脱いでほしいという気持ちもありました。その方がラクになって笑顔にもなれるのではないかと......まあ、この辺は見る人それぞれの考えですね😅😅😅

スジはとにかくしっとりと美しくて100%以上の満足度😆✨
本物のアンナ役の女優さんも(若い頃の森泉を思わせるような)奔放な演技が良かった!

ここぞというところで流れるエスメラルダの曲やキラキラ星の変奏曲も効果的。
ラストの鹿🦌の登場と母親の見た夢のリンクとか、エスメラルダの第一幕終了を告げるカーラジオとか、随所にすごく気を遣って作り込んだと思える作品でした。
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