へんなひと

星降る夜にのへんなひとのレビュー・感想・評価

星降る夜に(2023年製作のドラマ)
5.0

生まれるとか死ぬとか誰も何もわからなくて、生きるとはなんなのか死ぬとはなんなのか、生きてなんの意味があるのか、あの人が死んでなんの意味があるのか、そんなことを考えるのはとても不毛で、人はそんなテーマから逃げながらもがいている。
そんな世界で生きている人に焦点を当て、人が死ぬ悲しみの温度をただ伝える。死は誰しもに訪れ、人生に意味はなく、それでも遺されたものは悲しく、その悲しみは誰にぶつけられるものでもなく、ぶつけてしまえばまた生きている人が傷つき、その傷つき傷つける様を見てまた生きる意味について考えてしまう。生きるということ、死ぬということ、何もわからないけど、人と人との関わり合いの中に温かさを見つけ優しく描くこの物語に泣いてしまうのは生きていく苦しみの中でもがいている証拠なのかもしれない。

私の心にも伴さんを飼っていて、誰かに執着し、その誰かを憎みつつもその人が悪い人であることを望んでしまう気持ちはすごくわかる。その感情は自分でも醜いことがわかってて、誰も許してくれなくて、どうしても執着が消えなくて、そんな感情を更生させようとするのではなく抱きしめてくれるこのドラマが好きだ。
繊細でリアル。死はなかなか私たちの生活と隣り合わせであることを実感しにくく、死によってトラウマがある一星や傷つきながらも傷つけることでしか自分を保てなくなってしまった伴さんや世界の色がなくなってしまった深夜を描くこのドラマはその冷たい温度を身近に感じさせてくれる。
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