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エルピス—希望、あるいは災い—のnileのレビュー・感想・評価

4.3
今季のドラマは『エルピス』と『silent』の2作品で持ちきりだった印象(自分はsilentの方は1話で観るのやめちゃったけど)。

正しくない世界で自分たちだけは正しくいようとする。
奇妙な出会いから冤罪事件を追うようになった報道界の負け組が事件を追って行くと思いもよらぬ方向へと転がっていくのが面白かった。もし韓国ドラマのように1話80分で16話くらい尺が長く取れていたらもっと鈴木亮平周りのことについて描けたような気がしなくもないが、良いラストを迎えられたと思う。闇を暴くために闘う者と、汚いなりにも作られてきた秩序を壊さないようにと必死に足掻く者。両者の利害が一致するところがこれまた絶妙。
何をするにしても、報道局の偉いおじさん連中やら政治界の大物やらと目をつけられては忖度だ〜配慮だ〜圧力だ〜と上手くいかない。正しくない世界だとか、正しくいようとか言ったが、そもそもいつから世界は正しくないものへと変わってしまったのだろう。報道という何も知らない者たちに情報という武器を与える役割を持つ一番正しくなければいけない存在が権力によって潰されようとしているクソみたいな現状。丁度最近話題になったとある書籍の出版中止騒動もまさに今作の問題と一緒で、正しくあろうとする者たちが真っ先に潰される。
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