最初から最後まですごくよく練られた脚本と全部のキャストのキャラクター作りと名演に感心しまくり。
さすがはキム・ゴウン、顔真っ赤にして泣いたり慌てたり怒ったりするリアルな渾身の演技が本当に素敵だった。私も長女なので、長女らしい責任感とウザさと真面目さ、それゆえの間抜けさと純粋さみたいなのがわかりすぎるくらいわかって。彼女がファヨンオンニをあそこまで信じて愛したのは、尊敬できて頼りたい人がずっとどこにもいなかったせいもあるんだろうな。頭の切れる次女の頑固な正義感に時に苛々しながら助けてあげて、親代わりで大切にしてた三女にどれだけ邪険にされても決して見捨てない。だけど天真爛漫で可愛いとこもあって、そりゃ百戦錬磨のチェ・ドイルもだんだん彼女を甘やかすようになるよね、という。
破格のお金持ちの権力と裏の顔と貧乏人との対決みたいな韓ドラは多いけれど、セレブリティと秘密の森あたりを足して割ったみたいなこのドラマ、個人的にはドンピシャだった。秘密組織と希少の蘭のマネーロンダリングにベトナム戦争を絡めてくるあたりの荒唐無稽過ぎない展開もさることながら、怪物ウォン・サンアが怪物の顔と母の顔と娘の顔を絶妙にブレンドさせる演技力のお陰で、あんなにムカつく女だったのに最後のシーンは気の毒で泣きそうになるくらいだった。
なんならあそこで終わってもいいくらいなのに、後日談としてきちんと三人のその後を丁寧に回収してるところも素晴らしい。
社会派ヒューマンドラマでありながら最後まで個人的「三人の姉妹」目線を決して失わせない。裁判のくだりは弱者の視点で見るとかなり恐ろしかった。エンタメとして見ても知的に見ても楽しめるし、やはり日本はとても韓国ドラマには敵わないな…としみじみ思わせられた。
