まいこ

シスターズのまいこのレビュー・感想・評価

シスターズ(2022年製作のドラマ)
4.7
ルイーザ・メイ・オルコットの名作『若草物語』をベースに作られたドラマ。貧困だった姉妹が多額のお金に翻弄されながら、現代の韓国で巨悪と闘うストーリー。

貧しくても仲睦まじく育ったオ・インジュ、インギョン、イネの3姉妹。
ある日インジュは謎の700億ウォンを発見し、“もらってしまうのか”それとも“返すのか”という究極の分かれ道に立たされる。

小さくても大きく、低くても高い話
監督が『お嬢さん』のキム・ヒウォン、脚本が『ヴィンチェンツォ』のチョン・ソギョン、製作はスタジオドラゴンと観る以外の選択肢はないラインナップ。サスペンス嫌いな私が「なんでそうなった?」を反芻して楽しめたの初めてかもしれない。また、シリアスパートだけでなく、長女と謎の男、次女と彼女に片思いする幼なじみ、三女と独りぼっちの病弱な雇い主の娘、たちの関係性が1話から最終話を経てどうなるか、といった面にフォーカスしても楽しめる。シスターフッドは良いよね。
個人的には11話が本作の頂点。語彙力がゼロになって数分『ャバ・・・』しか言葉にならなかった。息ができない。もう暫くはこんな追体験、出来ないと思う。

物語のキーワードとしては母と子供、娘、家族、が根底にあってそこから派生していくイメージ。それにしても、色彩と画面構成が美しくて映像から目が離せない(伏線を見逃せないという意味でも)。

珍しくアホの子主人公にイラつかず、むしろギャグ要素で癒されたし、絶妙にコメディなところが面白すぎた。悪役として描かれたキャラクターは軒並みサイコパスだったけれど、特にサンア館長(オム・ジウォン)の強烈な演技は恐ろしすぎ2022年大賞。少女と女性の性格・喋りの切り替わりが凄すぎる。パク・ジェサンも相当だったけど彼の行動原理は彼女な訳で、そう考えると断然可愛いものだった。
そして、何よりチェ・ドイルの大型犬みはヤバい。下手な恋愛ドラマ観るより"""良"""すぎる。【俺があの女を愛してると思ったなら、お前はこんな行動をしちゃダメだろ】殿堂入りです。というか、皆目で語る瞬間が多すぎる。惚れるだろ。(※眼鏡を外して会話し始める=キャラクターの本心が語られる、といった演出を行なったそう?)

必ず物語の最初に流れるBGMが牧歌的。劇中のコーラス的な曲も、どこかもの寂しげな雰囲気が漂って好き。
一話が終わる頃には顔面ズームにスローが入るから、毎回どのタイミングでタイトルが挿入されるかゲームやってた。綺麗にハマると超楽しい。『ヴィンチェンツォ』の名残。明らかなオマージュだけでなく、パクジェサンのアレは既出ロケ地だし、極めつけはカサノ氏が靴屋(JIMMY CHOO)の店主やってるしで最初から最後までノンストップでワクワクした。

『お嬢さん』が大好きだから観るしかほかないとはいえ、資生堂のポスターを真似た、みたいなニュースを知ってちょっと萎えた気分で観始めたからここまでハマるとは思わなかった。楽しい1ヶ月だった。『25、21』『ヴィンチェンツォ』といい、スタジオドラゴン素晴らしいわ。
TMI→今月末、ロケ地巡りたいな。
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