美容院の担当の人に素晴らしいから絶対に見て!!!!と言われて見たけどシンプルに茶番だった……
説明的なストーリーテリングと道具立て、さらに行間から視聴者の考察欲を掻き立てる感じ、坂元裕二がめっちゃ好きな人がエブリスタで書いた小説が人気を呼び、LINEマンガでコミカライズしてついに連ドラ実写化したかのような脚本。
たしかに、序盤の主演3人の三角関係はなかなかおもしろいと感じたし、「手話」あるいは発語に頼らない意思疎通での「出会い直し」という点には少なからず期待を持って見ていたのだけど、最終回では執拗に「あの頃をもう一回やる」に終始していて、あのふたりが一体何を乗り越えて復縁したのがさっぱりわからない。
ネットで話題になっている脚本家の発言はもちろんなんだけど、最終回で特に気になったセリフが3箇所あって、
・奈々の「私たちはうつむいていたら優しく声かけてもらっても気付けないんだよ 見ようとしないとダメだよ」
→ ろう者(奈々)が聴者(春尾)との関係を通して、社会や聴者ではなく、“聴こえない方”にちょっとがんばらなきゃいけないと気づかせ、それを夏帆という表現力豊かな俳優に手話をさせ多数が聴者と想定される視聴者に見せるという構図エグくて泣いちゃった…(真顔)
・紬がバイト先の同僚に「そういう 耳聞こえないなら こうだって決めつけた考え方しかできない方がよっぽどかわいそうだよ 私もそうだったけど」
→ この物語の中で「差別をしないこと」イコール「障がい者をかわいそうだと決めつけない」程度でしかないのかよ……セリフで魅せるみたいなふれ込みの割に道徳の教科書読めばわかるようなことわざわざ言われても…
・春尾が手話教室の同僚に言われる「春尾くんの良いところは 聞こえない人を可哀想だと思ってないところだよね」
→ ろう役者出せとか安易に言うけど、出したとて言わせるセリフの内容が「聴こえない人をかわいそうと思わない聴者は良い人」って……これ見てsilentに1クール耽溺してきた視聴者らはさぞうれしいだろうね。まるで自分のことを褒めてもらえたみたいだもんね☺️(皮肉)
作り手の意識があまりにも…、で悲しくなったけど、最後に「ケイコ 目を澄ませて」のパンフレットに載っていた三宅唱インタビューの一部を引用します。
「聴者の僕にできることは、自分の周囲の多くが聴者であることを何度も自覚すること、そうでない人がいることを意識し続けること、そんな点から一つずつ進める必要があるだろうと考えていました。」