事実に基づくとうたいながら、事実に基づかない点が多過ぎる。東京電力ではなく、「東央電力」では腰がひけすぎ。権力から追われた政治家は批判できても、東京電力全体は批判できないということか？(原発を進めたのは自民党。ところが、このときは民主党政権だった)原発の所長は、東京電力の本店にいたときに巨大津波の予測を無視した戦犯ではないのか？それを、英雄のように描いている。
原発事故は人間ドラマで解決できるような問題ではなかった。科学技術について深く考えたことのない人が作ったドラマとしか思えない。社員の実家で停電しているのに固定電話が通じている。そんなことも知らない人が脚本を書き、演出しているのだ。あきれる。それで原発事故を描くのは無理でしょう。
このドラマを事実だと思ったら大間違い。NHKスペシャルの１０年間の取材でわかったこと、例えば、注水ラインに抜け道があり消防車の注水が原子炉にほとんど届いていなかったことが、ドラマに取り入れられていない。海水を入れる、入れないがドラマの重要な場面になっているが、この海水もほとんど届いておらず、事故の進展には影響のないことだった。事故後、所長を英雄のように持ち上げる人が書いた本を原作にしているのだから、このドラマの制作者は原発事故の本当のことを描く気が最初からないのだろう。東日本全体に住めなくなるのを防いだのは、このドラマが描いた人間の努力ではなく偶然だった。
このドラマを見ても、建屋の水素爆発にとどまらず、原子炉がなぜ破壊されて燃料棒が溶け落ちたのかわからないでしょ。
アメリカ資本のNetflixなら、原発事故を遠慮なく描けると期待していた。しかし、原発はアメリカ発だからなのか？真実に迫っていない。残念だ。
