Lily

三体のLilyのレビュー・感想・評価

三体(2023年製作のドラマ)
5.0
2023年10月に中国の文化都市である成都市で開催された世界最古で最大のSFイベントであり、ヒューゴ賞の授賞式であるWorldconに招聘され、三体の作者である劉慈欣先生の登壇スピーチの日には会場で溢れんばかりの長蛇の列を目視し、物販の真ん中に並んでいる三体の本は、補充で積み上げても積み上げても手に取られて飛ぶように売れていき、三体のゲームブースには歩けないほどの人の山を目の当たりにしてきた。
会場は、完成するまでWorldconの開催期日を延長させたというほどの、新オープンした亡きザハ・ハディット建築による、SF館という名の宇宙船をイメージした壮大で素晴らしい会場である。
話を戻すとこれまでSFや物理は男性が主体とされているのでは?というような意識が消えてなくなる時代がとうに訪れている。明らかに変わっている。このような知識階級高めの理解力を要するジャンルが男女関係なく凄まじいほどの人気を席巻している中国本土。次の劉慈欣先生を生み出すための国策やイベントやコンペティションがこれでもかというほど政府主体で多発的に莫大な予算を投資され動いており、宇宙開発ですらSFジャンルと同等に捉えて推し進めている。もはや国の威信として存在している。それらのリーダーには多くの優秀な女性たちが関わっている。それこそ葉博士が決してファンタジーの世界ではない中国ならではの説得力。男女同権によるエネルギーが非常に高いのを体感する。
それらを踏まえてSFへの熱量とSFというジャンルを政府が経済政策として本気で捉えている今の中国本土での熱狂的なSF・三体ブームを浴びてきた身としては、Netflix版「三体」をここぞとばかり楽しみにしてた。面白い!
テンセント版では描けないであろうシーンを含めた表現もあるだろうし、描き方やプロットのまとめ方も秀逸だと感じる。今回の製作者3人のインタビューも読んだが、良い意味でこの原作をドライに見ているのもあり、切り口など客観的に捉えているような気がする。中国版はそうはいかないだろう。

オープニングのイントロで「あ、これラミン・ジャワディか」「なるほどゲームオブスローンズのチームが製作してるからか」とわかってしまうコンポーザオタク。
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