傑作犯罪ドラマ『ペーパーハウス』のリーダー格ベルリンが主人公のスピンオフだが、“大人の事情”で無理やり8話まで伸ばしているのではないかな。せいぜい4話で十分だ。
演技、演出、おじさんおばはんの劣情描写らすべてが過剰だった。本家シリーズのアシスタントクラスがつくった脚本のように感じた。シリーズのクオリティを高く評価し、本作に期待していたため、とても残念だ。
現に最終話の脱出劇は、いかにもペーパーハウスシリーズらしい騙しとギミックを仕掛けているのに。
全編休むことなく、インド映画並みの濃厚で感情多寡な描写が続く。リーダーのベルリンは人妻との不倫に血道をあげ、そのほか5人のメンバーもみな愛物語にうつつを抜かしてピンチを招く。これがスペイン人やフランス人の典型的な感覚なのだ。愛がすべてなのよ。仕事が失敗するリスクがあっても。
仕事、つまり4400万ドル相当の宝石類を盗むとき、愛に生きることの愚かさやリスクに疑問を抱かないのだろうか。実際何度もへまをこいているし、うまくいったのは“ドラマ”だからだ。
愛に悩む面々はインド人なみに泣きわめき、制作側は大げさに音楽で盛り立てる。メンバー全員がひっきりなしに人前で大騒ぎするので、さすがに気疲れしたりシラケたりする人が多いんじゃないかな。
仕事がひと段落してからゆっくり愛を育めばいいのにね。
犯罪計画はそれなりに楽しめるけど、恋愛ネタが多すぎた。全体の半分くらいはあるんじゃなかろうか。
最後に一言。日常的にこのような人々の中で暮らしたり働いたりしたら、ほんとメンドクサイと思う。その場の感情で動き、周りに迷惑をかける。論理やモラルは存在しない。
義務感で最後まで見たかも。
実にエモいというよりもクサイ作品である。