このレビューはネタバレを含みます
間違いなく面白かった。しかし、「大人向け」というより「大人騙し」に感じられてしまって手放しに絶賛もできない困った一作
良いところはとくとん良く、悪いところはとことん悪く分離してしまった、まるで原液を味わっているような色々な意味で刺激的な一作
マイノリティへの差別問題を取り入れたこと自体は挑戦的だし、僕も評価したい。でもよく指摘されるように、その取り入れ方が雑です
よく日本の差別主義者が「我々は『普通の』日本人だ」と主張していて、それを見る度に胸糞悪くなるものですが、でもそれってある意味事実だと思うんです。だからこそ根も闇も深いのが人種問題
それに対する本作の描き方はと言うと、差別主義者を徹底して「醜悪なもの＝『普通ではない』日本人」に描いてしまった。これでは単なる第三勢力の敵なんですよね。却って問題を矮小化しているように思える
それとバイオレンス描写以外に本作を「大人向け」たらしめているドラマパートですが、内輪揉めに終始しているように感じられてしまったのも残念
特にこれは明らかに学生運動を意識した70年代パートに強く感じるものでした。思えば革命という理想から内ゲバという醜い権力争いにシフトしていった実際の学生運動になぞらえているのかもしれませんが、もしそうだとしてもドラマとしての面白さに繋がっていない
というか、どうも「ドロドロした人間ドラマ＝大人向けの高尚な演出」と勘違いしてるんじゃないか。これは『555』でも感じて、僕が『555』を好きでない理由でもあるので、白石和彌のせいというより東映のせいではないか
散々腐しましたが、それでも要所要所で興奮する面白さがあったことも事実
5話で初めて変身ポーズをとって変身するシーンは否応なく興奮したし、何といっても最終回のOPはオリジナル好きということもあって大興奮！
先ほど批判した学生運動を彷彿とさせるパートも、「白石和彌はこれがやりたかったんだな」という熱気を感じた
長所と短所が勢いよく分離しすぎた作品ではあるものの、第2シーズンがあったら絶対観るし（できれば『RX』であってほしい）、こういうライダーはこれからも作り続けてほしいと思うパワーあふれるドラマでした
