みけねこ

なにもしたくない~立ち止まって、恋をして~のみけねこのレビュー・感想・評価

5.0
なんだか、生き急がずに心身の健康ためだけに生きようと思える作品。

事件以外、すべてリアルさを追求していてとても良かった〜。

自分に自信を失ったヨルムが会社を辞めるまでの経緯や衝動もリアルでした。
社会人なら(実際にああやって退職したことはなかったとしても)誰もが一度は近しい感情を抱いたことがあるのでは。
そして、都会の人が夢見る田舎暮らしには、想像以上に窮屈な人間関係があるということ。
それらがうまく掛け合わさっていて、良くできているなぁと拍手。

ソウルから海辺の街に癒やされにきたよ!アンゴクの人たちも大歓迎で移住成功!的なテンションではないので、ハラハラしたり胸が痛くなる場面はあれど、ラストまで自分と重ね合わせて落ち着いて観られるような、そんな感じ。

知らず知らずのうちに傷付いてしまっていた心をただただ修復させていく、静かながらも情緒がしっかりとある内容でした。

アンゴクに来たばかりの頃はお酒を飲んで現実逃避していたヨルムだったけど、お水が美味しいと言ったラストの言葉に、アンゴクでの生活すべてが表われている気がします。
やっぱり自分を出すって大事。田舎暮らしをせずとも、都会に押し殺されていた自分に気付いてそれを解放する勇気がいるんだよね〜。 

キャストもとても良かった〜!
イムシワン君の演技っていいよね〜。好きです!

〜〜〜〜〜
"幸福"について考えた
辞書を引くと
"十分な満足と喜びを感じること"
またそのさま"という意味だ
長すぎるので短くしてみた
"幸福とは不足がない状態"

今日を思い返した
肌寒い夜明けに起き
日の出前の道を思い切り走った
満ち足りた時間
十分だ

家に帰って水を飲んだ
お祖母さんは
水が世界一おいしいと言った
そのとおりだ
十分だ

洗濯物を干す時の音が好きだ
手に残る石鹸の香りも好きだ
十分だ

昼下がりは図書館で
強烈な眠気に襲われた
甘美な昼寝
十分だ

本棚の前で次に読む本を選ぶのは
いつも楽しい
ワクワクする
十分だ

ボムと一緒に寝る時は
いつも笑い転げる
目を見るだけで笑える
十分だ

ボムが言った
大丈夫という私の言葉で
本当に何もかも大丈夫な気がしたと
私もそうだ
大丈夫と言うと
本当にすべてがうまくいく気がした

本当に十分満ち足りてる
人生の道しるべは
まだ見つからないけど
私は今 満ち足りてる
生きよう

〜〜〜〜〜
みけねこ

みけねこ