今期一番好きだった！
キャリアで恋愛体質なデザイナーのあいこちゃんと無恋愛で暮らし上手な絵本作家のともこちゃん。
高校の同級生で属性も性格も反対な二人が偶然再会して一緒に暮らすお話。
一期前の「作りたい女食べたい女」とも少し重なるテーマを持っているけど、よりコミカルでポップ。
よく考えれば「そんな偶然ないわ！」のご都合主義だけと妙にリアルで全然気にならない。
物理的に仕事出来るけど家事ダメなあいこちゃんと仕事は停滞気味だけど家事全般得意なともこちゃんは互いを補い合える「共生」関係。
もともと高校の同級生とは言え、親友ほど近くないクラスメイト止まりくらいの仲。
若い頃は似た趣向同士で群れるもんね。
アラサー独身女性のあるあるや生きづらさを共感するところから仲が良くなる。
もちろん自分も共感したけど、共感だけで安心させるではなく、ご都合主義でズバッと解決するでもない、少し苦さが残るけどちょっぴりハッピーな展開が良かった。
(そもそも、アラサー独身女性の楽しさも描いてくれている)
アラサーならではの人生経験と若さのバランスで、二人それぞれの乗り越え方をシェアし合って模索するのはまさに精神的な「共生」だった。
作中でも多数決の難しさは出てくるけど、今まで社会はこの「共生」を圧倒的大多数の価値観である男女の恋愛から起こる結婚に任せていた。
恋愛はわかりやすく絆を結べるから、制度上でその絆を利用して共生を促すのは、本人たちが精神的にも能力的にも得意と苦手を補い合えれば最高かもしれないけど、そうじゃなければとても難しい。
社会が成熟して、多数決の力技に頼らず最小不幸の最善策を模索できるようになってきた今だから、本来の「共生」に特化した関係があっても良いし、それを同性同士でも制度上認められたら良いのにね。
劇的な大事件は起こらないし演出過剰にしない、喧嘩をしてもきちんと話し合いをしてサラッと解決してしまう。
エッセイのような軽さが心が弱ったアラサー独身女の「今」には染みた。
世間的社会的大勝利ではなく、「少しでも」楽しく生きる姿勢を持ちたいと思う「未来」の自分へのお守りになりそうな作品。
