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愛だと言ってのmckeeのレビュー・感想・評価

愛だと言って(2023年製作のドラマ)
4.6
明るい要素がほぼない苦悩と涙の16話。味のある映像とOSTで、ブレることなく重いムードで完走させてるところがすごい。
序盤はウジュの無機質で破壊的な台詞回しが心に刺さる。恐ろしいほど的確な言葉の中に真理がキラリ!訳も上手いんだろうけど、ちゃんと言葉で表現しようとする脚本の秀逸さが香る。
中盤、最初はいじらしいと感じられたウジュのひねくれっぷりも流石に引っ張り過ぎてやや飽きが来るが、気持ちが変わってきた辺りの描写から丁寧さが増してきて持ち直す。
以降モッタリ進む姉妹の恋模様、明らかにゆっくりの進行スピードとどっちに転んでもおかしくない危うさも好み。まあ大筋での予想はできるけど、少なくともどうせこうなるんでしょ?と観る気持ちが萎えるような展開ではなく、ゆっくり味わいたいと思える。描写も芝居も丁寧で、とどまったり溢れたり揺れ動いたりする様が心地よい。
しかし不思議だ。どうしてウジュの父親はあの凛とした母親を捨て、あのどうしようもない女のところへ走ったのか?これは余程・・・
ドンジンの母親の(あの方はいつもあのような役だが)突き抜けっぷりもすごい。おそらく韓ドラに慣れていない方には、相当不快な印象を植え付ける設定と演技だと思うが、最後まであれで通してくれたおかけで重しが取れずに作品のトーンを保てていたのでは?と思う。
どなたかがそのトーンの類似性をレビューされていたが、私も「マイディアミスター」「私の解放日誌」と並んで、どんより三部作と名付けたい。
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