tjr

ムービングのtjrのレビュー・感想・評価

ムービング(2023年製作のドラマ)
-
韓国の映像作品の良いところを煮詰めたような傑作。
超能力、甘酸っぱい青春、ハードなゴア描写、60分×20話でキャラクターそれぞれを深掘り、今の時代には珍しい陰謀論。
そこにハリウッド顔負けなCGまで加わって、毎話映画のようなクオリティ。
ドラマだからと妥協することなく、カメラワークや構図、的確な照明の使い方まで抜かりない。

個人的には1作内で親世代と子ども世代を並行して描いているのが良かった。
あくまで「個性の一部」としての特殊能力を抱えて甘酸っぱい青春を謳歌する子ども編。
暴力に支配された世界から何とか脱しようとする大人編。
この対比があるからこそ、高校生らしく生きれている子どもたちの今が尊いし、親の苦労がめちゃくちゃ分かる。これって特殊能力が無くても感じる普遍的なことなのでは。
もちろん終盤になるにつれて暴力の渦に巻き込まれていくが、ここも韓国ならではの(ある意味オーソドックスな)敵対者が登場し、彼らにも過去が、譲れない物があるという描き方は素晴らしかった。

そして、登場する超能力がオーソドックスなものばかりで、変化球に頼らずともここまで面白くできるのかと感嘆した。

映画ばりのエンドロール後には続編を匂わせるご褒美も。
絶賛評ばかりだしこれは続編に期待。
tjr

tjr