tjrさんの映画レビュー・感想・評価

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REBEL MOON ー パート2: 傷跡を刻む者(2024年製作の映画)

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気持ちのいいくらい復讐の準備に全振りしたパート1のおかげで、ほぼずっと最終決戦。
決戦前夜、皆にタペストリーが贈られるシーンはグッときたなあ。そしてぺ・ドゥナ演じるネメシスがめちゃくちゃ推されてるなあ
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スペースマン(2024年製作の映画)

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傑作ドラマ「チェルノブイリ」の監督、ヨハン・レンクによる静謐な作品。
この監督、ブレイキング・バッドやウォーキング・デッドなども監督していてとんでもない手腕なのは間違いないのだが、今作は観念的な内容で
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

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「サマーウォーズ」も「時をかける少女」も、そして「君の名は。」も今作も、夏の田舎の高校生が選ばれし者になるという設定はどうしてこんなにも魅力的なのか。

安定したハイクオリティの作画は没入感を高めてく
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

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妻に連れられて劇場版を数作観ただけの初心者には情報が多すぎて大変だった…逆に言えばコナンフリークにはサービス100点だったのかもしれないけど。

場面の切り替えやら登場人物やらが多すぎてとにかく忙しい
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ウィッチ(2015年製作の映画)

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鬼才ロバート・エガースのデビュー作にして、アニャ・テイラー・ジョイの躍進のきっかけとなった1作。

作り込まれたコンテクストは宗教的な要素があまりにも多すぎて理解を諦めたところもある。
シンプルにして
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Winny(2023年製作の映画)

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硬派な社会派ドラマであり、見応えのある法廷劇でもあり、生み出した物の正否を問うドラマでもあり、パラダイムシフトを予見した天才の生き様でもあり…
観る角度によって様々な輝き方をする作品で、そのどれもが非
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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ヤクザと中学生の交流についての否定的な意見を目にしてしまっていたからか、綾野剛がヤクザである必要性はあるのか?と思いながら見始めた。
終わってみれば、義理と情に厚いこと、命が散る可能性の高さ、コワモテ
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

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「タクシー・ドライバー」のポール・シュレイダー監督・脚本。
この人の作品はハマると大傑作、外すとB級作、みたいなギャンブル性があると思ってるんだけど、今作は完璧に前者だった。

少ない登場人物とドライ
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特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテスト(2023年製作の映画)

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部長となった主人公の苦悩を中心とした、最後の吹奏楽コンクールの前日譚的作品。

久しぶりに観る京都アニメーション作品はやっぱりクオリティがえげつない。
それに呼応するかのように声優陣の演技も粒立って良
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

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オーストラリア最悪の銃乱射事件を映画化。
どうしてもガス・ヴァン・サント監督作「エレファント」を思い出す。

最小限のセリフと音で主人公の内面を解体し、最悪のラストへひたすら下り続ける112分。
最初
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パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女(2020年製作の映画)

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「パラサイト 半地下の家族」のパク・ソダムの切れ長な目とアンニュイな雰囲気が絶妙にマッチ。
「ドライヴ」のライアン・ゴズリングを彷彿とさせるショート丈のジャケットもめちゃくちゃかっこいい。

韓国のお
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ダムゼル/運命を拓きし者(2024年製作の映画)

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生贄としてドラゴンの巣に投げ込まれた王女のサバイバルアクション。
装備はドレスと短剣だけ、という飛車角落ちのシチュエーションでのDIYアクション、それもファンタジーの世界観でとなるとワクワク感はかなり
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かがみの孤城(2022年製作の映画)

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ありがちと言えばありがちな現代ファンタジーも、辻村深月が書くとこうなるのか、と唸ってしまった。

不登校の女子中学生の逃避先としての「かがみの孤城」。そこには他に6人の中学生がいて、隠された鍵を見つけ
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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テメェらが求めてる黒人像ってこれだろ、と馬鹿にするつもりで書いた小説が大ヒットしてしまうという皮肉。
出版社の人間はまだコメディタッチで描かれていたから笑えたが、文学賞選考委員まで”あれはリアル”とか
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

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ジャンル映画の脚本として完璧すぎた。
女性を攫い犯し、部下すら使い潰す人間のクソを極めた敵部隊隊長と、周囲のあらゆるものを武器にして単身敵を殺しまくる主人公というシンプルな構図。
だけど画面に映る全て
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正欲(2023年製作の映画)

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一番好きな作家である朝井リョウの、一番社会に衝撃を与えた作品である原作は、あまりの読書体験にすぐに2回目を読み返した。
原作者は2015年のラジオで、「セックスについて真剣に考えている」と発言していた
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

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ノーラン版バットマン以外、今までパッとしなかったDC作品にやっと陽の目を浴びる時が来た。
これからのDCUに向けたエンジンとして、DCの歴史を振り返る作風になっているのも憎い。

マルチバースってMC
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ある男(2022年製作の映画)

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複雑な脚本が完璧に映画になっていた。下手したら過去最高の原作映画化かもしれない。

画自体は硬質でシンプルに。ただしフレームワークの技巧が光り見応え十分。
終始人間ドラマを描いているが、「愛した夫の正
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

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アリスもテレスも出てこないし、工場=製鉄所はまぼろしを作り出すところでもない。
何をどう表現したいのか分かりづらく、クリエイターの自己満足を見せ続けられているような苦痛がうっすらと続いていたように思う
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

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な、なんだコレは…
実在のエクソシストの手記を元に映画化、とあるが映画として破綻してないか?

ルール無用のエスソシズムバトルと言えば聞こえはいいが、悪魔のサイコキネシスとポゼッションに祈りで戦うのみ
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恋は光(2022年製作の映画)

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めちゃくちゃアニメ的だが爽やかで澄んだ演出は、同監督の前作「殺さない彼と死なない彼女」と通ずるものがあった。

唯一の男性キャスト・神尾楓珠はコメディに振り切れることなく堅物大学生を演じ切っていて好感
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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

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夢の国のすぐ隣のモーテルでのその日暮らし…それを徹底して子供の目線で。
そりゃこういう親ならこんだけクソガキにもなるわ、と納得するほどクソガキで、だけど子供も狡賢く生きているという現実がまず辛い。
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

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ショーン・ベイカーの作品といえば、“ギラギラの陽光に照らされた弱者”を同じ目線から描いている印象が強く、そういった意味では今作は正しく作家性が現れた作品だった。
金も仕事も無く、だがプライドは高く見栄
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金の国 水の国(2023年製作の映画)

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“国の中で最も美しい娘”と“国の中で最も賢い男”が嫁婿に出される、という昔話あるあるから始まる。
それぞれ選ばれたナランバヤルとサーラの澄み切った心と対比されるように、その他全てが濁って見える序盤から
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ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

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60歳を迎え、一念発起→トレーニング→仲間集め→挑戦→挑戦→挑戦…
これが実話ベースだからすごいよな、と思う。

レズビアンであること、14歳の時に性加害に遭っていることにはあえてフォーカスしすぎてい
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第三の男(1949年製作の映画)

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瓦礫の残るウィーンの街並み、文字通り光と影で描くサスペンス映画のお手本のような映像、迷宮のような地下水路での逃避行…
さすが名作と呼ばれるだけあって、どこを切り取っても「これぞサスペンス」なシーンばか
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

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前作に続き視覚からの情報量の洪水に溺れる。
続編特有の既視感を置いてけぼりにする、圧倒的キャラクター数と圧倒的カメラワーク、アニメーションだからこその演出の連続で満足度が凄まじい。
だからこそグウェン
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イノセンツ(2021年製作の映画)

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これはすごい。
丘の上の団地での少年少女の日常。

超能力は所謂“大人には理解できない子供たちの事情”のメタファーなんだろう。
それを説教臭くするのではなく、あくまでもスリラーとして撮っているのが新鮮
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よだかの片想い(2022年製作の映画)

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主人公は顔にアザがある女性。
化粧っ気が無くショートヘア。
でも“顔にアザがあるからどうした”な気が強いタイプではなく、これまで生きてきた中で少しずつ、時間をかけて受け入れてきた。。。

インタビュー
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そばかす(2022年製作の映画)

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日本映画でついにアロマンティックの主人公が、ということで話題になり気になっていた作品。

性的マイノリティの扱いについては“時代錯誤な描写”が直球すぎたり、アウティングがあったりとモヤつくところはあっ
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スマイル(2022年製作の映画)

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ホラーは苦手だけど、評判の良いホラーは「ミッドサマー」「MEN」など社会問題の寓話としての側面が大きいこともあり、安心して見始めた。
が、ジャンプスケアの連続に何度も心臓が止まりそうになった。
くるぞ
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

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ある1人の芸術家の、個展前の日常。

説明的なセリフは無くオフビート、だけどなんだか目が離せない映像はケリー・ライカートの真骨頂。
見進めるにつれ、父の影響で作陶をし、母が勤める美大で事務の仕事をし、
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英雄の証明(2021年製作の映画)

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「別離」「セールスマン」のアスガー・ファルハディ監督作。
今作でも人間の愚かさを静かに力強く描いている。

タイトルバックに写る“不安定な足場”はそのまま主人公が手にする栄光のメタファー。
主人公は超
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行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

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スケボーで街中を自由に走る少年たちの姿からこのドキュメンタリーはスタートする。
しかし、走る街は奇妙なほど活気がない…
暴力的な家庭から逃れるようにスケートパークに集まり、もう一つの家族を形成する。
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

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正統派アクションの1作目、世界観バチバチの2作目、アイデアと物量に溢れた3作目、に続く、過去3作全てのエキスを抽出して作られた最高の完結編。
前後編として分けても十分すぎるほどのアクションとスケールだ
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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

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1980年代のニューヨークで生きる12歳の少年の視点から、日々を映し出す。

子どものためを思って怒る親の気持ち、死にゆく祖父との最期の時間を感じ取れない、自らの行動の行き着く先を想像できない…という
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