tjrさんの映画レビュー・感想・評価

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怪物(2023年製作の映画)

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公開当時、なるべくネタバレを踏まないように注意しろと各所で言われていた理由が分かった。分かったが、それに触れずしてこの作品をどう批評しろと…?
まずは今まで私の目に触れる範囲でネタバレをしないでくれた
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窓辺にて(2022年製作の映画)

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恋愛映画の名手 今泉力哉久しぶりの単独オリジナル脚本。
“辞めること・手放すこと”をテーマに、映像作品だが敢えて言えばまるで上質な小説を読んでいるかのようだった。作品内での循環が美しい。
文句無くオー
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レベル・リッジ(2024年製作の映画)

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久しぶりに大当たりのNetflixオリジナル映画。
監督・脚本・編集は「ブルー・リベンジ」のジェレミー・ソルニエ。ドライでハードな画作りは、サスペンスが帯びる社会的メッセージを浮き彫りにする。

パー
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

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今までセクシーで可愛くカッコいい男たちを描いてきたガイ・リッチー監督初のミリタリーアクション。
カッコいい男たちという意味で軍隊物が合わないわけがないが、過去作よりもかなり人間ドラマに重心を寄せている
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前田建設ファンタジー営業部(2020年製作の映画)

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企業版“空想科学読本”のようなワクワク感とお仕事映画としての熱さが最高
。“実際には作らないが、人々の心の中に作るんだ!”と、ファンタジー設定を日本の技術力で設計し、見積りと工期まで公開するというアイ
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π〈パイ〉 デジタルリマスター(1998年製作の映画)

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ダーレン・アロノフスキーのデビュー作を「ザ・ホエール」でタッグを組んだA24がリマスター。
ポジフィルムを使い灰色を飛ばしたギラギラのコントラストとテクノサウンドが、85分を狂気に染める。

ぶっちゃ
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

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今泉力哉監督作品の配信が今日までだったので鑑賞。原作未読だがどうやら知る人ぞ知るような漫画のようで、このスローなテンポは原作を踏襲しているようだ。

井浦新、リリー・フランキーがのびのびとたっぷりした
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ゴッズ・クリーチャー(2022年製作の映画)

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「after sun」のポール・メスカルと、アカデミー賞に2度ノミネートされ、ドラマ「Dune プロフェシー」を控えるエミリー・ワトソンの演技が光る。
全体的に暗く陰鬱だからこそ、キャストをじっくり堪
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工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

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政治のセピア、秘密工作の青みがかった緑の照明が美しい。
序盤は視覚的にも雑多で情報の渦に飲まれそうになるほどハイテンポだが、徐々に情報が整理されるとともに画面も荘厳さを帯びる。
何気にやたらアイコニッ
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

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居心地の悪い演出で人の嫌な部分を照らす天才・リューベン・オストルンド監督の作家性が爆発している。
日本の宣伝方針は“格差逆転の痛快作”路線だけど、それだと前フリ長すぎだしラストにカタルシスも無いのでそ
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PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

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外では壮絶ないじめ、家では毒親。そんな少女がいじめっ子の拉致現場を目撃する。助けるか、それとも見殺しか。
観る前から絶対面白いと分かっていたが、なんとアーティスティックで映画文法に忠実な作品だった。大
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スケート・キッチン(2018年製作の映画)

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実在の女性スケートチーム“スケート・キッチン”のメンバーを起用して撮られた青春映画。
独りで滑っていた女の子がInstagramで見たチームに会いにNYへ、というのは実話なんだろうか。男ばかりのスケー
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マイ・レフトフット(1989年製作の映画)

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アカデミー賞を揃って受賞した2人の演技が飛び抜けている。
左足しか動かせないダニエル・デイ=ルイスの“動”の演技と、一家の精神的支柱としての母役ブレンダ・フリッカーの“静”の演技が印象的。子ども時代を
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マッチスティック・メン(2003年製作の映画)

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15年くらい前、当時高校生の時に観て、アンジェラ役のアリソン・ローマンに恋したことを鮮明に思い出した。

当時23歳ながら14歳の役を可憐に演じきっていて、ただでさえ笑顔がキュートで心を掴まれていたの
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デッドプール&ウルヴァリン(2024年製作の映画)

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観客を1秒も飽きさせない最高のエンタメ作にして、駄作とされ映画史から葬られた(映画史に残ることもできなかった)数々のキャラクターをフックアップして肯定するエンパワーメント作でもある傑作。

脚本の1s
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キャドー湖の失踪(2024年製作の映画)

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“M・ナイト・シャマラン製作のタイムループ・スリラー”の惹句がトップに載ってるけど、実際は家族の絆を再確認するファミリードラマでした。

ただ、それにしてはエリザ・スカンレン演じるエリーの疎外感描写が
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ルックバック(2024年製作の映画)

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正反対の2人の出会いと別れ。だけど1人になっても、受けた影響はずっと残り続ける。

漫画を頑張れたのも挫折したのも再開できたのも全部京本のせい。
起伏の激しい藤野の感情を表すダイナミックなカメラワーク
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母の聖戦/市民(2021年製作の映画)

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2004年の「マイ・ボディガード」から20年、メキシコは未だ誘拐ビジネスが横行し、年間6万件にも上るという。ハリウッドならリーアム・ニーソンがやるような娘捜索を、ただの(それも娘から“いつも言いなり”>>続きを読む

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

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ゼンデイヤの魅力が大爆発している120分。この監督はティモシー・シャラメの時と言い本当に俳優を魅力的に撮る人だな。ゲーム音楽とクラブミュージックの中間のような音楽が欲望とともに溢れ出すドライブ感がすご>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

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銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による対話。脚本のリアリティが凄すぎてもはやドキュメンタリー。父親はホワイトカラーvsブルーカラー、母親は怒vs悲の視覚的対比。対峙する前の準備の段階からリアリティと>>続きを読む

イベリン 彼が生きた証(2024年製作の映画)

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筋ジストロフィーの青年がゲーム「ワールド・オブ・ウォークラフト」で駆け抜けた人生を振り返るドキュメンタリー。車椅子生活だがゲームの中では自由だ、という「呪術廻戦」の与幸吉のような人生。

さらに驚くべ
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ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

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原題は「NIGHT MOVES」で爆発物を積み込んだボートの名前“夜遊び号”。なぜ真逆の邦題なのだろう、そしてなぜこんなB級臭がするポスタービジュアルなのだろう。

一抹の不安を抱えつつも、見始めれば
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劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE(2023年製作の映画)

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2012年にアニメ1期が開始されたPSYCHO-PASSシリーズの集大成的作品。これまでの全シリーズの内容を踏まえた、時系列的には「Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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原爆の父オッペンハイマーの栄枯盛衰。
スピーディな編集と豪華で膨大なキャスト、そしてノーラン印の時系列シャッフルは初見殺しと言われても納得。しかし時系列順に編集してもここまでのスリルと葛藤の大きさ、考
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ブラックベリー(2023年製作の映画)

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日本未公開作ながら絶賛評ばかり耳にしていたのでワクワクしながら観たが面白かった。30代以上なら誰でも目にしたことがあるBLACKBERRY、そして現代では今や誰も手にしていないそれをめぐる伝記映画。>>続きを読む

母という名の女(2017年製作の映画)

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文字通り自らの欲望のままに生きる女。
「ロスト・ドーター」のように母性神話の解体を行うのではなく、モンスターの設定として母というカテゴリに当てはめている。行動原理が一切説明されず、共感させる気が微塵も
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或る終焉(2015年製作の映画)

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カンヌ脚本賞を受賞したミシェル・フランコ監督・脚本作。同監督作品は「ニューオーダー」に続き2作目の鑑賞。
固定カメラによる長回しとフレーム内フレームにより、献身的看護はもはや絵画のような美しささえある
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

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ミシェル・フランコ監督の突き放した演出が今作でも光る。
貧富格差による民衆デモに巻き込まれた富裕層の女性が主人公。豪華な邸宅は一瞬にして地獄と化すが、もっと怖いのは“それから”だった。

アレックス・
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ザ・ビーチ(2000年製作の映画)

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「シビル・ウォー アメリカ最後の日」のアレックス・ガーランドによる小説が原作。アレックス・ガーランドは小説家時代から、全編にわたって不穏さと居心地の悪さを描く作風だったのか。

ただし近年の監督作とは
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シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

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ちょっと凄すぎた。俺はいま戦場から帰ってきた。戦争アクション、if worldを描いたSF、そして社会的メッセージの全てが最高のレベルで共存していた意味不明な傑作だった。

映画で見慣れた景色に映り込
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ファミリー・ツリー(2011年製作の映画)

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人々が楽園と呼ぶハワイで、家庭を省みてこなかった主人公は数々の問題に直面する。

この物語は、1.死にゆく妻 2.一族の土地の売却 3.妻の浮気 の3つを軸に進む。
仕事人間だった主人公は事故による妻
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サイドウェイ(2004年製作の映画)

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今作でも、ままならない人生にもがく男を優しく包み込むアレクサンダー・ペイン印は健在。
「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!」(それにしても酷い邦題)に続き教師が主人公。小説出版が叶うかの瀬戸
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アバウト・シュミット(2002年製作の映画)

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仕事を定年退職し、妻に先立たれ、娘は結婚を控える初老の主人公をジャック・ニコルソンが見事に演じていた。
物語にアップダウンはほとんど無く、2時間以上にわたって主人公の虚無感が画面を埋め尽くす。
仕事人
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ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!(1999年製作の映画)

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アレクサンダー・ペイン監督の長編第2作。
いま読んでいる本で、アメリカの高校生活の正確な(ある種ステレオタイプな)描写、と紹介されていたが納得。

内容は高校教師を主人公にしたブラックコメディ。
田舎
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

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日本ヤクザと麻薬が絡む第3作。
前作から7年後の設定であり、敵も強大になってくるから仕方ないとはいえ、強力班から広域捜査隊へ異動したマ・ソクト。
過去作に登場したキャラクターはほとんど登場しないのが勿
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

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2分という短時間のループを、それも皆がその体験を共有するというありそうでなかった設定が秀逸。
SFミステリで始まり、コメディ、ラブストーリー、サスペンスなど様々な側面が顔を覗かせる。
2分の長回しカッ
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