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ロリエ・ゴドローと、あの夜のことのjolyneのレビュー・感想・評価

3.7
1話を試写会にて拝見しました。

『トム・アット・ザ・ファーム』以来のミシェル・マルク・ブシャールの舞台が原作となっています。

ドランはこれまでも母親、家族、セクシュアリティを描いてきましたが、今作も家族を主軸としたサスペンスドラマです。
母親役はドラン作品でお馴染みのアンヌ・ドルヴァルが、メインキャストは舞台のオリジナルキャストが続投しています。
1話時点では物語の序章ということで、主に登場人物紹介的な内容となっていますが、既にかなりたくさんの伏線が散りばめられていました。
2話以降は毎話家族それぞれに焦点を当てて描かれるということで、映画という限られた時間では描ききれないであろう細部まで彼のこだわりを感じられそうです。
エピソードのメインとなる人物によって描かれる年代も変わるので、時代背景やファッションなども注目ですし今後の配信が楽しみです。

『トム・アット・ザ・ファーム』はドラン作品の中でもかなり好きなタイトルで、彼の画面作りのセンスとサスペンス的な演出は相性が良いですし今作ではさらに洗練されていました。
また、ドランといえば劇中歌がかなり意図的に演出に使われているのが大きな特徴ですが、今作ではハンス・ジマーの劇伴をベースに狙ったシーンではドランの個性も出ていてその緩急が良かったです。

ドランが「ついに自分の全てを語り尽くしてしまった」というほど、これまでの経験値の全てが込められた集大成的な作品になっていると思います。
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