こり

麒麟がくるのこりのレビュー・感想・評価

麒麟がくる(2020年製作のドラマ)
4.7
最初はどうなるかと思った大河だったけど、有終の美で終わった事に本当に1年と少し見続けて良かったなと思えた。最初「明智光秀を知らない方も楽しめる」というキャッチコピーを見た時「近代大河ならまだしも、戦国大河となると知識がないと難しいと思うな〜」と思ったけど、いざ見終わると歴史をほとんど知らなくても分かりやすくまとめてあったり(毎度Twitterで解説があったりと配慮が良かった)、終始「明智光秀=ヒーロー」が一貫していて見易かったので、このキャッチコピーは正しかったんだなと。

毎話毎話面白い、そして、衣装やセットはもちろん、演出(個人的に光の演出が好みだった)のクオリティが本当に高かった。役者も適材適所で、私は特に佐々木蔵之介演じる秀吉が思いの外良かった。最初は「背が高すぎるんじゃないか...」と思ったけど、回を重ねる度に呑気な百姓から、媚を売る武将まで、全てが秀吉そのもので、天下を取る秀吉も見たかったなと思うほど、秀吉の見納めが名残惜しくなった。

最後の終わり方も賛否両論あると思ったけど、私は凄く好印象だった。前述のように「十兵衛=ヒーロー」としての綺麗な終わり方だったと思う。敢えて希望を持たせるこの終わり方は、今の時代に即した素敵なラストだったと感じた。

個人的に本作を見るまで、明智光秀は天下の信長を討った悪人だと思っていた。でも本作を見て、明智光秀の印象や見方がガラリと変わったのと、歴史というものは誰を主人公にし、誰を敵に置くかで、その人物の印象は180度変わるモノなんだなと凄く感じた大河だった。歴史をあまり知らない人でも楽しめる、そして「歴史」そのものの奥深さと物語としての汎用性の高さをより認識させられた素敵な大河でした。十兵衛様にはのんびり余生を生きて欲しいな。
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