Kaji

京城クリーチャーのKajiのネタバレレビュー・内容・結末

京城クリーチャー(2023年製作のドラマ)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

制作意欲と意気込みに反して、内容は王道で捻りがなかったように思う。
戦争加害、ひいては731部隊の人体実験という残忍な史実を扱うならば、もっと緻密な心理描写と時代考証が必要だったのでは無いだろうか。


また、クリーチャーものでは、クリーチャーが「何か」が肝だ。例えばゴジラは放射能への恐怖、シンゴジラでは災害の恐怖、グレムリンは貿易摩擦と白人社会の不全感、と言ったように概念の化身として今まで描かれてきた。
今作ではあまりそこには執着がなく、日帝の被害者として、しかしながら実験の成功例として、人間性を剥奪された母親という位置付けであった。正直、日本強占期に朝鮮の方々が感じていた恐怖や抑圧にもっとフォーカスして、韓国にしか描けない怪物を生み出して欲しかった。

ちなみに、題材と流れは「オオカミ狩り」とよく似ている。スタイルは全然違うけど。上記に即すと、オオカミ狩りのチェグィファの方がよくできた怪物だった。

でもこれはジャンル映画が好きな私のちょっとおもった物足りなさ以外のなんでも無い。


とはいえ、驚きはこのドラマが配信開始されてからネットに頻出した「反日」の言葉、またそれに付随する嫌韓の言葉。
ちょっと面食らったというか、ここまで歴史を知らない事に羞恥心は働かないのだろうかと。

日本は敗戦国で戦争加害国であって、しかも朝鮮を植民地にして、その国に生きる人の文化もアイデンティティも毀損した歴史に目を背けながら、韓国のエンタメを摂取するのはやはりおこがましいように思う。
歴史を知ろう。
Kaji

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