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季節のない街のtjrのレビュー・感想・評価

季節のない街(2023年製作のドラマ)
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ハードな現実を粒立ったキャラクターによるユーモアで包み、人情と優しさをヒタヒタにして泥臭くメッセージを伝える。
これは宮藤官九郎作品の集大成と言って差し支えないだろう。

外部から来たある種冷笑的な主人公に池松壮亮、バカだけど熱くて真っ直ぐな仲野太賀、底抜けに明るく優しい渡辺大知など、当て書きのようなキャストたちが素晴らしく、皆が主人公。
30分10話という決して長くはない時間の中で、それぞれの背景と繋がり、絆、そういったコミュニティを外から見る冷たい視線まで描き、最終話では大団円まで用意してくれる。

「自分はまとも/あいつはまともじゃない」「仮設といってもみんなにとっては仮じゃない」「あれほど酷い暮らしはないけど、あれほど人間らしい暮らしはない」などパンチラインも豊富。

見終えて改めて見直したいと思える懐の深さもあり、大好きな作品のひとつになった。
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