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こっち向いてよ向井くんのtjrのレビュー・感想・評価

こっち向いてよ向井くん(2023年製作のドラマ)
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第一話から「守るってなに?何から?どうやって?」「女の子っていう人格は存在しないよ、主語でかすぎ」など、恋愛ドラマには当然のワードを論理的に切り倒していく。
そこにはジェンダー差別に対する視点があり、その芯がブレない。
これまで海外の作品ではこういったメッセージにたくさん触れてきたつもりだったけど、日本の作品で日本の文化の中で言及されると、参考書の例題解説を見ているようですごく勉強になった。
序盤3話は男性目線での描写のあと、ミステリの種明かしのように女性目線で解説が入り爽快感と居た堪れなさが同居する新しい鑑賞体験だった。

その後はトリッキーな演出はなくなるが、説教臭くなることはない。強いて言えば波瑠が演じるキャラクターが上から目線なのが気になったが、それにも理由があったと分かり納得。
それぞれの男女(性的マイノリティに触れれなかったのは連ドラの限界か)の関係の変化も興味深い。
特に妹夫婦のありかたは、主人公が元カノの呪縛から抜け出す様子よりもよほど見応えがあり、こちらを軸にしてほしかったくらい。

近年稀に見る邦連ドラの傑作。
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