このレビューはネタバレを含みます
この世の中に“普通”なんてなければ、ってもうこんなこと考えるの何回目だろう。
いい加減うんざりするな、もういいでしょって
この物語を見ていて涙を流している自分を冷静に外側から眺めてみると、これを特別なお話として捉えなければいけないのが現状なんだという事実に立ち返ることになり苦しくなる
ほんとにみんな人間を名前つけてカテゴライズするのが大好きだから、知的障害や発達障害などに関わらず、人の内側ではなく外側のものにばかり目を向けてそれで判断するされるってことだけに関して言えばかなり身近に感じる光景だな、とかそんなことも考えたりした。
どこの誰が決めたのかわからない“普通”の枠から押し出された誰かが苦しくて泣いてしまうのは、普通になりたいと願い自分を責めてしまうのは、弾き出された“普通じゃない”に対して白い目でみるこの世の中や社会の風潮であり、それを何故だか一方的にマイナスなこととして捉える人が向ける浅はかな態度によるものであって、あなたが(世の中が決めるところの)“普通”じゃないことはなにも、なんにも悪くないから。下を見ていつも自分を責めてごめんなさいと謝る有紗ちゃんをみて、そのたびに、執拗に普通を押し付ける社会が、苦しみの根源であるこんな世界の方が謝れよ、とおもってしまう自分もいた。
5話ラストの「世界で2人だけだったらいいのに」がまさにその苦しみを表すような台詞で胸がギュッてなった、でも想いがまっすぐで2人がただただ尊くて、ハンバーグついた手つかないようにハグする岡村さんとペッタリ手つけちゃう有紗の対比もみれて、このシーンかなりお気に入り
9話の配車であわあわは自分とかなり重なってしまいぼろぼろに泣いた、みていて苦しかった
この描写に限らず、人間誰しも苦手なことや上手くできないこと、失敗してしまうこと、ミスなんて起こりうることで、そんなにぜんぶを自分が悪い、自分だけがおかしいって背負う必要なんてないんだよ、きっと
普通でいなきゃ、普通にならなきゃ、そんな“普通”の呪いから離れられずに生きていたという意味で岡村さんと有紗ちゃんはきっと最初からどこか通ずるものがあって、お互いがお互いでないとダメで、人生に必要な存在だったんだろうな。
ほんとうは、そんな何でもない2人の恋愛のおはなしなんだ。
あと、やさしさとずるさは似ているということについてはすごく考える時間だった、
意識的にやさしく接することがフラットな態度から遠ざかることになって、逆に傷つけてしまうことがある、
誰かがくれるやさしさが苦しく感じることってあるよな、とか
一見ドライに見えるような有紗ママがずっと見ているといちばん自然にフラットな接し方をしている気がした
「産まなきゃよかったって思ったことある?」「あるよ」に続く言葉が、障害があるから、ではなく、人一人育てるのがどれだけ大変か、という言葉だったのが忘れられない
正直だけどいつも深いところに彼女への愛があるのが伝わってきて、それがホッとしたし心地よかった、彼氏もちゃんとわかってる人で、なんだか安心しちゃった
小野花梨ちゃん、本当にお芝居うますぎて…ひとつひとつの感情表現が素直で健気で自然と有紗ちゃんに感情移入してみてしまった
有紗に笑っててほしい、この子の笑顔を守りたいって自然とそう願ってしまう、最初から最後まで素晴らしすぎた……!
風間ぽんも、ほんまに、好きです………………
笑顔が怖く見えちゃうような殺人犯の役もできるのに岡村さんの笑った顔をみると心が一瞬でほぐれていってすごく安心した
天野さんもほんとに素敵な人で岡村さんと2人のシーンの空気感とか好きだった〜
あとはともちゃん役の高山璃子さんのお芝居が自然すぎてビックリした…観た人の印象に必ず残るような子だったと思う、スーパーミキンコリニスタ観なきゃ、というきもち
知らなければ目の前の相手をありのまま人として見れるのに、知ってしまったら何か感情が揺らいだり外側につく名前ばかり気になってしまう、それは生まれてきた瞬間から“普通”が染みついた世界だったから、今更もう抗うことが難しいことなのかもしれないけど、大事なのはその感情の揺らぎをちゃんと自分の中に認めて受け入れて、認知の歪みなり無知の知なりを自覚して向き合うことだと思う。罪悪感を感じてしまった岡村さんも叱れなかった天野さんもそのこととちゃんと向き合って改めようとする姿勢があってすごくかっこよかった、
原作読んでないけど、水の中でこぽこぽ…てなってる演出とか息苦しい感情がドラマを通してもちゃんと伝わってきてとてもよかったな🪼
OPの映像、あれだけで泣いちゃうのなんで?🥲どうかずっと幸せでいてください