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ゆりあ先生の赤い糸のすみのレビュー・感想・評価

ゆりあ先生の赤い糸(2023年製作のドラマ)
3.8
赤い糸は一本じゃない。
刺繍の糸のように、何本もあっていい。
その赤い糸で作られていく刺繍は、ただ美しく、愛おしいものになっていく。

1話モノローグにあったように、ゆりあが父親から受け継いだ責任感の強さはある種の呪いで、きっと苦しいことがたくさんあったに違いない。でも、それに救われた人間がたくさんいて、ゆりあも救われて、最後にはその呪いこそがかけがえのない赤い糸を作ってくれた。

話の流れだけ見ると、吾良は典型的ないい人すぎて妻が苦労するタイプの夫でしかも不倫してるわけだし、稟久は常識人に見えて情緒不安定な子供だし、みちる一家はただ都合よく寄生するとんでもない家族でしかない。そんな人たちと同居するなんてとんでもなくぶっとんだストーリーだと思う。それなのに、ゆりあがみんなのことを愛していて、お返しにみんなからまるごと愛されていたのがひしひしと伝わってくるから不思議だな。
キャストの演技力がみんなものすごく高かったので、浮世離れしたストーリーでもしっかり引き込まれたのも大きい。
みんな代わりいないってくらいハマってた。原作の絵は結構独特で、実写キャスト全員見た目は似てないんだけど「あのキャラが実際に現実にいたらこういう人なんだろうな」っていう説得力があった。
二次元から三次元にこれ以上ない解像度で変化したかんじ。

特に、ゆりあと便利屋伴ちゃん。
ゆりあが菅野美穂で本当に良かった。序盤のぶすっとした顔からだんだん綺麗になっていくから、見ているこちらも見惚れてしまった。綺麗なのに、いい意味で女っぽさというかいやらしさがない。ゆりあのただ誠実で不器用なところが存分にでていて、まっさらでピュアなのが伝わってきた。

そして、伴ちゃんがチャラい印象にならないのもすごかった。序盤でキスするわ抱きしめるわで行動自体は結構チャラついてるのに、ストレートに気持ちを伝えてくれるから、「手が早いけど誠実」っていう不思議なバランスが成り立ってた。木戸くんの持ち前の透明感あってこそだと思う。

あと、同居してるお母さんがずっとゆりあの味方でいてくれたのがよかった。きっとお母さんもちゃんと本質を見ることができる、人間的に聡い人なんだろうな。

今期のプライム帯では一番ハマったドラマかもしれない。
ヤイコの主題歌ものびのび温かな感じが合ってたし、タイトルコール時のサントラのピアノ曲が美しくて大好きだな。
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