ルーク大佐

ホワイトハウス・プラマーズ/米国政治の失墜を招いた男たちのルーク大佐のレビュー・感想・評価

4.0
暗黒の米国政治を語るうえで欠かせないウォーターゲート事件について、事実ベースで描いた作品だ。主犯格の2人の人間性や家族関係、そして事件を引き起こした動機を深く掘り下げている。

ウ事件といえば、大統領府がからむ陰謀事件として有名だ。
事件の全貌をまとめたノンフィクション『大統領の陰謀』はベストセラーになり映画化もされた。

著者ボブ ウッドワード, カール バーンスタインは一躍ジャーナリストの寵児となり、世界的に名声を獲得した。彼らの調査報道に憧れてジャーナリズムやメディア界を目指した人は多い。

さて、本作はジャーナリズムがニクソン政権を追及する過程を描くのではなく、ビルに盗聴器を仕掛けるために潜り込んだマヌケな犯人側を主役にしている点がユニークだ。

主役キャラの演じ分けが抜群にうまい。
元CIA局員で後世「ケネディ暗殺事件にからんだ」と語った男をハレルソンが演じている。ゴリゴリのマッチョではなく、家族思いで奥さんの尻に敷かれた優柔不断な男である。
もう一方は、元FBI局員でナチス崇拝者であり、猪突猛進型の血気盛んな男だ。男根主義の塊のようなキャラで、傍にいたら関わりたくないタイプである。

どちらの男もちょっとヌケているが、強烈な愛国者である。
国を守るためならば、目的を遂行するためならば、手段を正当化するような気質があるので、度を超すとちょっと怖い面がある。
ケネディ暗殺に彼が関わっていたとしても、不思議ではない。

脚本は味わい深いし、主役2人の演技もうまい。脇役もしっかりしている。がちがちに硬い演出ではないし、事件の流れもわかるので、良作のドラマだね。
ルーク大佐

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